シークレットストーリー

カルカ様ファン

 星空へと


ヤルダバオトが両足を掴み、カルカが宙吊りになる。

カルカは自分がこれからどのような目に遭うか察し、血の気が引く。

その瞬間、眩い光が辺りを照らしヤルダバオトの視力を奪い腕からカルカが解放され、軽やかに着地する。



「許しません…私の美しい顔に傷をつけようとしましたね!」


「カルカ様!いくらなんでも自分で美しいというのはどうかと思います!」


「そうだぞ!」


背後から投げられた姉妹のツッコミは意に介せず距離を縮める。


ヤルダバオトの腹にボディーブローが叩き込まれ、大きな音を立てて膝をつく。

血と唾液が混ざった嘔吐物がコンクリートの表面を彩る。


「なっ…聞いていた話と違っ…」


再びボディーブローが入り、夜空の街に鈍い音が響き渡る。


「グオッ…待て俺は命令されただけなんだ!」


聞く耳を持たずヤルダバオトの燃えている尻尾をしっかり掴んだ。

カルカは足を踏ん張り、身体を回転させ始め砂塵が舞う。

ヤルダバオトの巨体が徐々に浮き上げ、低い声で悲鳴をあげる。

「や、やめてくれ」


やがて回転の勢いが頂点に達し、手を離す。

ヤルダバオトは夜空へと放り投げられ、爆発四散し城塞都市カリンシャの上空で大きな花火が打ち上がる。



白い息を吐き出し、崩れ落ちた店へと視線を置く。


「さて、次はあなたですね」

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