風習や儀式などのイベントは非現実を引き寄せる。形骸化してスタイルだけ残っているものがほとんどだが、文学はそこに力を与える。ここでは、お月見が先立った者との思い出として語られる。行事をなぞることで、死者と対話するのだ。そこにはたしかに、亡くなったその人がいる。
主人公視点で語られる「月」の表現が素敵な物語です。記憶をなぞりながら月見の準備をする様子や、彼に想いを馳せる場面は、読んでいて切ない気持ちになりました。静かな秋の夜にオススメしたい作品です。
もっと見る