ダーグ
セラフィーナはすくすくと育ち、ハイハイをして洞窟内を動き回るようになった。アーニがほんの少しだけ目を離すと、洞窟の外にひとりで出て行ってしまう勢いだ。
アーニは1日のうちで何度も何度もセラフィーナの首根っこを甘噛で掴んで洞窟へと連れ戻した。
そんなアーニの忙しない様子を見て
「この森で傲岸不遜なアーニ様を振り回せるのはセラだけだぜ! 将来セラはアーニ以上の女傑になるに違いない!」
傲岸不遜なんていう褒め言葉からは遠いことを言われたアーニはオデュを鋭い眼光で睨みつける。するとオデュはビクリと身体を大きく震わせると、素早い動きでセラフィーナの頭を撫でてから文字通り尻尾を巻いて逃げ出したのだった。
相変わらず洞窟には沢山の魔物が訪れてセラフィーナに食べ物や木の皮で作った衣服をプレゼントする。
最初こそ“大きく育てて食ってやる”などと言っていた魔物達だが、今ではセラフィーナの愛らしさにメロメロとなり“食べる”だなんて口にする輩はいなくなっていた。
今やニンゲンの子どもであるセラフィーナは、暗闇の森に住む魔物達から愛され、大切に育てられているのだ。
だがしかし、セラフィーナのことを快く思わない魔物もいる。
アーニは鼻をスンスンと鳴らし、その匂いの接近に気がつく。そしてセラフィーナを洞窟の奥へと押し込んだ。
毛を逆立て、牙を剥き出しにし、ウーと低く唸って近づいて来るそれを待つ。
すると程なくして悠然とした足取りで洞窟へとやって来てきたのはオスの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます