第10話 茜の探索
野口健太郎が部室に入るや否や、ぱっと明るくなったような気が加奈子にはした。
「のぐち~!あかねが、あかねが帰ってきたぞ~!」
「え?まじですか?茜さんが!どこどこ?」
そうか、野口さんと茜さんは本来同期なんだ。あっちは1年休学だから2年生で見た目では後輩になるけど、茜さんは本来なら3年生。私より二つ年上だ。
「いや、今どこにいるかわからない。でも、ほんの2時間くらい前までここにいたらしい」
「じゃぁ、さっき加奈子ちゃんたちと学食で会った時には、その辺にいたのかもしれないんだ!まだ近くにいるかもしれない!俺、探してくるわ!」
と言うと、野口先輩はドアを開けて飛び出していった。
「あー、あれだからダメなんだな、あいつ。」
どうしてなんですか? 私は西城さんに聞いた。
「山でもし、仲間同士ではぐれた時、あんな風に探しに行ってはダメだ。二人とも遭難する可能性第だ。」
「え、でも、ここ都会ですよ。はぐれるてるわけじゃないし。」
「我々山岳部は、どこにいようとも、常に山の頂を目指して歩いてる!という意識を持たなければならない!たとえキャンパスと言えども、慌てたりしてはダメなんだ。日頃から沈着冷静でなければ!!」
「でも、西城先輩、泣いてたよね。」
紀代が私に耳打ちする。
「つまりだ!ごほっ!今は、待つしかない!茜を!信じて!以上!」
この山岳部において、茜さんがいかに重要な人物かはわかった。
でも、その茜が、いつ戻るかは誰にもわからない。
連絡したくても、茜さんの携帯番号を知ってる人はいなく、
メアドも知らないと言う。
仕方ないから私たちは西城さんに従い、部室の留まることにした。
何かあれば、野口先輩から連絡がくるはずだ。
「先輩!質問です!もし登山中にはぐれたら、どうするんですか?」
紀代が手を挙げて聞いた。
「いい質問だ。まず、集団からはぐれたら、じっとしてる。もし冬ならビバークする場所を確保する!そして探す方は、まずは慌てず、役割分担を決め、下山チームは下山したらいち早く警察に連絡。残ったメンバーが二次遭難しないために、決められたルートのみ捜索。見つけ次第、仲間に位置と、遭難したメンバーの健康状態を報告する!」
なんか茜さんが友達とどっかいっただけなのに、冬山登山の講義になってしまった。
なんか私たちも探した方がいいように思えてきた。
「加奈子!二人で茜さん探そう!たぶん、キャンパスの中か、周辺にいるはず!」
紀代がそう言うと、西城先輩は、こう言い放った!
「よし、俺は部室にて連絡を待つ!」
なんか仰々しい展開になってきたわ・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます