待ちぼうけ

古 散太

待ちぼうけ

ただ待ちつづけて待ちぼうけ

何も動かない何も変わらない

それはずっと自分だけのこと

太陽はすこしずつ傾いていき

いつの間にか西日が射してる

太陽は何も待っていないのだ

いつもいつも前進しつづけて

朝を昼に変え夕暮れに向かう

ぼくは何を待ってるのだろう

愛用の木の椅子に腰を下ろし

ただ沈んでいくだろう太陽の

行方を何気なく見つめている

そんな感じでぼくはまた一日

年齢を重ねながら生きている

いずれぼくが死を迎えるとき

相変わらず愛用の椅子に座り

西の山の向こうに沈んでいく

太陽を見つめているのだろう

そんな未来を想像してみると

なんだかとても切ないような

悲しいような気持ちになった

ぼくは椅子から立ち上がって

安物のパーカーを手に取ると

勢いよく玄関のドアを開けた

この一瞬ですら人生であると

はっきりと認識できた瞬間に

ぼくの人生は行く先を変えた

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待ちぼうけ 古 散太 @santafull

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