第2話 精神病院に居るような人の精神状態とは
精神病院に入院しているといろいろな人を見ます。
僕の活動範囲は、病棟内と中庭です。
許可を取れば外出もできますが、僕はなるべくしないようにしています。不眠と肥満で入院しているので、外出すると外食してしまうんです。僕の心はそんなに強くないと自覚しているので敢えて外出しません。
僕の活動範囲内で出会う人はみんなとても大人しいです。意外でしたか?
奇声を上げる人やブツブツ独り言を言っている人はたまに居ますが、多分山手線の中の方が変わった人を見る割合は多いと思います。
というのも、本当に病状が重い人、僕らはぼかして体調が悪いという言い方をしますが、そういう人は部屋に閉じこもっています。
その中でも自分自身や他人に危害を与えそうな可能性のある人は、保護室といって別の空間にいます。
ですから、僕の活動範囲にいるような人は比較的落ち着いていて一見普通の人が多いです。
もちろん、心の中までは見ることが出来ませんが。
精神病棟は急性期の人がいるか、ある程度病状が落ち着いた人がいるかで過ごしやすさは全然違います。
年に一度秋祭りのような催し物があって、その時屋台が病院内のスペースで行われます。食べ物の屋台とかもあって近所の方が大勢来られます。
もうわかると思いますが、そこにいる病棟の方は落ち着いた方がほとんどです。病状がひどい人はそういう場所には出られませんから。
精神病院でも頭が本当の意味で狂ってるという人は、僕の入院している病院では見たことがないです。おそらくそういう人は違う病院にいるのでしょう。
僕が見る限り、みなさん自分自身の病状と戦っています。鬱とか幻聴、幻覚とか。病気の症状としてそういう他人から見えない病状とそれぞれ戦ってます。とても孤独な戦いだと思います。
だから僕は、人間は生きてるだけで百点だと思っています。生き抜くということは大変なことだと、病状の酷い時を経験しているからです。
意外と普通ですよ、みなさん。病状が外から見えないだけです。
良い人もいますし、嫌な人もいます。
親切な人もいますし、盗難事件が起きることもあります。一般社会と変わらないのです。
想像してみてください。
あなたが病状できついとき頭の中に、病気できついのは総理大臣のせいだ、とか聞こえてきたとします。本当に聞こえてきます。それが幻聴なのですから。
一回や二回でなく、ずっと聞こえてきます。頭は狂いそうなくらいきついです。ついつい、僕はそんなことには騙されない、これは幻聴だ、と小さくつぶやいたとします。
でも、周りから見るとブツブツ言ってるなんか良くわからない怖い人、と見えちゃうのです。
病気でそういう症状が出るため、そういう症状と孤独に戦ってる人が多いです。もちろん、僕が知らないような頭の狂った人もいるかもしれません。でも、僕の活動範囲内の人たちにそういう人はほとんどいませんでした。
こういう事実がもっと世の中に知られると、今よりもっと優しい世界になりそうですよね。
まあ、といいつつ僕は今の日本社会も好きですけどね。
精神病棟よりこんにちは 八倒斎 @moo1119
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