第5話
○道
雪菜:やってしまった。や、アレはホットミルクが原因で……別に、手を握って寝るつもりは
一樹:なに一人で言ってるんです? 雪菜さん
雪菜:なんでもないです!
一樹:そうですか? それで、付き合ってくれるんですよね、クリスマスプレゼント選ぶの
雪菜:夕実ちゃんへのプレゼントですか?
一樹:はい。毎年迷うんですよ、だから手伝ってください
雪菜:私より貴方のほうが女性の好みを知っていそうなんですけど
一樹:それが分からないんですよ、女の子が喜ぶプレゼントが
雪菜:そんなものですか?
一樹:そんなものです。あ、雪菜さんならどんなものがほしいですか?
雪菜:私の基準はあてになりませんよ?
一樹:良いんですよ。雪菜さんの基準で
雪菜:そうですか
○雑貨店
一樹:あ、このウサギの帽子とかどうです? 耳ついてて可愛いですよ?
雪菜:それよりクマの帽子のほうがいいです
一樹:ふむ、甘すぎないテイストですか
雪菜:甘すぎない?
一樹:雪菜さん、コーヒーはカフェオレ派?
雪菜:そうですけど
一樹:ケーキはクリームいっぱいよりフルーツタルト?
雪菜:どうして知ってるんです?
一樹:いえ、知ってたわけじゃないんですけど。あ、僕、美味しいタルト屋さん知ってるんです、行きませんか?
雪菜:プレゼントはどうするんです?
一樹:プレゼントは逃げません
雪菜:タルトも逃げませんけど
○図書館
牧本:雪菜ちゃん、これ本棚に戻しておいてくれる?
雪菜:はい
一樹:手伝いますよ
雪菜:……お願いします
一樹:(嬉しそうに)はい!
牧本:え? ちょ、ちょっと一樹くん!
牧本は一樹を引っ張る
牧本:(小声で)なになに、雪菜ちゃんどうしちゃったの? 今までなら絶対断ってたのに
一樹:うーん、懐いたからかなか
牧本:誰が、誰に?
一樹:僕が雪菜さんに
雪菜:一樹くん、行きますよ
一樹:はーい
牧本:い、いつの間に名前呼び……若いって、いいわねぇ
○沖野家
一樹:ただいまー
母:お帰りなさい
雪菜:あの
母:お帰り、雪菜ちゃん
雪菜:はい、ただいま帰りました
父:お、広瀬さん、いいところに、今夕実とゲーム中なんだ。一緒にやらないか?
夕実:パパ、弱いの。相手になんない!
父:ぐっは! 娘よ、パパの心臓をえぐらないで
夕実:パパじゃつまんない。行こう、ララ
ネコ:にゃー
父:(涙)おうおうおうおう
一樹:父さん、気持ち悪い
父:娘と息子が冷たい
雪菜:えっと、一緒にします。ゲーム
父:広瀬さん。君はなんていい子なんだ!
雪菜に抱きつく父
雪菜:ふわ!?
一樹:父さん、雪菜さんに触らないで
父:ふっふーん、なんだ? やきもちか、一樹
一樹:そうだけど?
父:一樹、お前
母:アナタ? いつまで雪菜ちゃんを抱きしめているのかしら。そんなに若い子がいいの? ねぇ、アナタ
父:ひぃいい!!
○図書館
基子:ねぇ
雪菜:はい
基子:ご本読んで
雪菜:? 一樹くんならあっちですよ?
基子:今日は雪菜に読んでほしいの!
雪菜:じゃあ、眠れる森の美女とかどうです?
基子:ふん、アタシの好み、分かってるじゃない
夕実:あー、いいなぁ、モトちゃん、雪菜お姉ちゃんにご本読んでもらってるー!
基子:いいじゃない! 夕実はお家で読んでもらえるんでしょ? 今日はアタシの番!
夕実:うぅ。いいもん! じゃあ夕実、モトちゃんに構ってもらうから!
基子:ちょっと! くっつくんじゃないわよ!
夕実:やーだー! いっしょがいーいー!!
雪菜:(苦笑)じゃあ読みますね、むかーしむかし、あるところに子どもを欲しがっている国王夫妻がいました。ようやく女の子を授かり、祝宴には国中の魔法使いが呼ばれました。魔法使いたちは一人ずつ贈り物をすることに。ですが宴の途中、一人だけ呼ばれなかった魔法使いが現れ「王女は錘が刺さって死ぬ」と呪いをかけて去ってしまいます。まだ魔法をかけていなかった最後の魔法使いが先程の魔法を修正し「王女は錘が刺さっても百年の間眠るだけ」という呪いに変えましたが王女を心配した国王は、国中の紡ぎ車を燃やしてしまいます。そして月日は流れ、王女が十五歳誕生日。城の中を歩いていると、塔の一番上で老婆が紡いでいた錘で手を刺し、眠りに落ちてしまします
不審者:こんにちは
雪菜:っ!? な、なぜ貴方がここに
不審者:君がここでバイトしてるって聞いて、ちょっと挨拶しておこうかなって思ってね
基子:だれ、アンタ
不審者:雪菜ちゃんの恋人だよ
雪菜:違います! ……基子ちゃん、夕実ちゃん。あっちに行ってなさい
基子:えー、なんで? まだご本、途中で――
夕実:あたーっく!
夕実は基子に突撃する
基子:あぐ!? 痛いわね、なにするのよ、バカ夕実
夕実:あっち行こう、モトちゃん
基子:はぁ? なんで、って、ちょっと腕引っ張らないで。夕実ってば!!
夕実と基子が去る
不審者:ねぇ、この間会いに行ったのにどうして出てきてくれなかったの?
雪菜:お答えする必要はないと思います
不審者:君は僕の彼女なのに。
雪菜:事実無根です。それ以上こちらに来ると、警察呼びますよ
不審者:ねぇ、雪菜ちゃん。あまり僕、怒りたくないんだよね。この前君に会いに行ったとき、玄関先にいたあの男はだれ?
雪菜:玄関先? ……一樹くんのこと?
不審者:なんで? なんであんな男のことを名前で呼んでるの? 君は僕の彼女なんだから、ほかの男の名前なんて呼んじゃダメだよ。ねぇ、ねぇ、雪菜ちゃん
雪菜:来ないでください! 手を離して!
不審者:嫌がるふりなんてしなくていいのに、僕はいつでも君を見てるから。ずーっと
一樹:へー、そりゃこまるなぁ
不審者:だ、誰だ?
一樹:呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん! 沖野一樹と申します。こんにちは、変態のお兄さん
不審者:へ、変態だと?
一樹:変態じゃなきゃなんなの? てかさ、勝手に雪菜さんの彼氏騙らないでくれる? そのポジションは僕のだから
雪菜:一樹くん? どうして
一樹:うん? 夕実が突撃してきたの。雪菜お姉ちゃんに変なのが近づいてるって。もぉ、そんなこと聞いたら走っちゃダメなのに全力疾走しちゃったよ。ああ、はいはい。雪菜さんの手を汚い手で触らないでねー
不審者が雪菜を掴んでいる手を払い落とす
雪菜:ちょっと、一樹くん?
一樹:雪菜さんは黙ってて。あのね、変態のお兄さん、この人僕のだから
不審者:は?
雪菜:え?
一樹:雪菜さんは僕のお嫁さんになる人だからストーカーとかしないでくれない? 今ならさ、穏便に済ませられると思うんだ
不審者:な、な、なんだと? 僕はストーカーなんかじゃない!
一樹:えー、でもさ、さっき嫌がってる雪菜さんに迫ってたよね。余りにも衝撃的だったから携帯で写メっちゃった。これさ、警察とかに出したらどうなるんだろう
不審者:お、お前! ふざけるなよ!
一樹:ふざけてるのはどっち? 僕は穏便に済ませようって言ってるのに
不審者:う……
一樹:二度と来ないで。雪菜さんが好きならそうして。次、雪菜さんの近くでお兄さんの姿見かけたら僕、容赦しないから
不審者:くそう!
不審者、去る
一樹:っはー、怖かったぁ。雪菜さん?
雪菜:っ!
一樹:うん、大丈夫だよ。もう大丈夫。怖かったよね
雪菜:怖くなんか
一樹:僕は怖かったな。雪菜さんの手があの人に掴まれてるの見て、すごく嫌だった。すごく嫉妬した
雪菜:一樹くん?
一樹:一人で解決しようとしないで。僕を頼ってって言ったのに
雪菜:ごめんなさい
一樹:謝らないで。夕実たちを逃がしてくれたんでしょ? ありがとう。ね、ぎゅってしていい?
雪菜:え? いや、その、それは
基子:一樹お兄さま、そういう時はなにも聞かずに抱きしめるのが男というものだと基子は思います!
雪菜:基子ちゃん?!
夕実:つくれ、きせいじじつ! 夕実がゆるす!
一樹:ははは、夕実が許してくれるなら作っちゃおうかな、既成事実
雪菜:な、なに言って
一樹:雪菜さん、僕は雪菜さんが好きですよ? まぁ、今までが今までだから、僕の言葉を今すぐ信じてなんて言わないけど。好きですよ。貴女が、雪菜さんが好きです
雪菜:好き、とか私
牧本:あらあらあらあら! こんなところで一樹くんが雪菜ちゃんを口説いてるなんて。なんてレアな光景かしら。動画録っていい?
雪菜:だ、だめです!
牧本:うふふ、うふふ、うふふのふー
夕実:うふふ、うふふ、うふふのふー
牧本:さぁ、夕実ちゃん、基子ちゃん。あとは若い二人に任せておきましょう
基子:雪菜!
雪菜:は、はい?
基子:ご本、まだ途中だからね。また今度、基子のために読むのよ?
雪菜:うん
夕実:カズにぃ、早く雪菜お姉ちゃんと結婚してね? 夕実、ずっとお姉ちゃんが欲しかったんだから!
一樹:うん? お兄ちゃんがいるのに?
夕実:お姉ちゃんもほしいの!!
一樹:もぉ、わがままだなぁ夕実は。うん、大丈夫。誠心誠意、全身全霊をかけて口説くから。覚悟してね、雪菜さん
雪菜:ちょ、待って! 一樹くん、顔が、違いから!!
一樹:恋人同士の距離はこんな感じだよ?
雪菜:まだ恋人じゃありません!!
牧本:あらー
雪菜:牧本さんも、傍観してないで助けてください!
牧本:本当に嫌がってたら助けてあげるんだけどねぇ。雪菜ちゃん、自分の顔、鏡で見てごらんなさい
雪菜:え?
牧村:うふふのふー。さぁて邪魔者は退散退散
夕実:たいさん、たいさん!
基子:じゃあねー
三人は退散する
雪菜:牧本さん! 夕実ちゃん、基子ちゃん!
一樹:ゆーきなさん
雪菜:え?
一樹:ちゅ
一樹は雪菜にデコちゅ! をする
一樹:うばっちゃった
雪菜:な、な、一樹くん!!
一樹:もうすぐクリスマスだから、クリスマスデートしましょうね?
雪菜:しません!
一樹:えー、夕実や基子ちゃんも喜ぶと思うんだけどなぁ。雪菜さんが幼稚園のクリスマス会に来てくれたら
雪菜:……一樹くん、それはずるくないですか?
一樹:ずるくない、ずるくない。恋する男子は好きな人に振り向いてもらうため、いつも必死なんですよ?
雪菜:まぁ、クリスマス会くらいなら
一樹:やった! じゃあ、お昼に迎えに行きますね! クリスマスプレゼント、なにがいいですか?
雪菜:……クマのぬいぐるみ
一樹:うん。じゃあ僕へのプレゼントは雪菜さんでお願いしますね。はい、約束げんまん、嘘ついたらちゅーしちゃうよ、指切った
雪菜:そ、そんな約束――
一樹:あれれ? 約束破ったらちゅーですよ? あ、そっか、してほしいんだ、雪菜さん
雪菜:も、もう! 一樹くんなんて知りません!!
一樹:あ、待ってよ、雪菜さーん
カメリアの花言葉を君に 声劇台本 塚原蒔絵 @tukahara_makie
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