宇宙戦艦白鷺高校
みつつきつきまる
第一話 発進!
「宇宙戦艦白鷺高校、発進準備!」
ブリッジで艦長の弥生が声を上げる。小柄な2年生。髑髏の髪留めでおさげを二つ作っている。
「発信シークエンス発動」
弥生の声に応えた副艦長であり弥生の同級生でもある日菜子は、白鷺高校を校舎モートから宇宙戦艦モードへと切り替える。
その合図により白くて四角い形により豆腐と揶揄される白鷺高校校舎が、ただの建物から宇宙戦艦と変化する。
「プラットフォーム、スタンドアップ!」
弥生の声が校舎中に響き渡ると、白鷺高校校舎を支えていた基礎が油圧ジャッキによってゆっくりと持ち上げられる。
金属の軋む音と、断続的な機械音がイントロのように響き、地面に隠れていたトラス状のフレームが姿を現す。これが宇宙船白鷺高校を宇宙へと飛びただせる発射台となる。
弥生は次の指示を送る。
「1年A組ブースター、1年D組ブースター、展開!」
『こちら機関部!1年A組ブースター、1年D組ブースター展開!』
1年B組と表示されたモニターに映るショートカットの少女が、弥生の言葉を繰り返して操作盤を操作する。
すると一階の両サイドに位置する1年A組と1年D組の教室の真下から、軽自動車位の大きさのブースターがにょきっと現れる。
「通常ブースター始動!」
『ブースター始動します!エネルギー供給異常ナシ!スラスター稼働状況、良好!』
弥生の合図で始動されたブースターは、オレンジ色の光を放ちながら低い風切り音を鳴らす。徐々に回転数が上がってゆく。
外部モニターでその様子を確認した弥生は、満足そうに大きく頷く。小柄な割に動きが大きいのが弥生の特徴である。
「操作系統以上なし。ステアリング、フラップ、ジェネレーター、スタビライザー全て問題ありません」
弥生の前の操縦席に座る無表情な和風美人が淡々と言う。春山凛。弥生と同じく2年生。
「レーダー、センサー問題なし。上空大気圏外まで障害物はありません」
艦長席から見て左側に座る眼鏡を掛けた三つ編みの少女が弥生を見て言う。電子部をまとめる3年生の門脇操。
「電子部の連携も問題ありません。それぞれセンサーのシンクロも終了してます」
操が報告を終えると、すぐに声があがる。
『こちら兵装部!チャンバーも砲身も砲門も以上なし!カラーボール発生装置も問題なし!』
2年A組と表示されたモニターに映った大柄な少女は、ツナギの上半身を腰で結んだタンクトップ姿ではち切れんばかりのその胸を張った。
『俺も律子も体調は万全だ!」
百八十センチを超える身長の千鶴は筋肉質な腕を見せた
「えー、通常通信、校内通信共に異常なし。地方官制局からの離陸の許可下りてます」
放送部の3年、秋川楓が面倒くさそうに言う。
「私の出番はこれで最後です」
『こちら機械部!今日は我々は留守番なので、無事の帰還をお祈りします!』
体育館と表示されたモニターに映った日焼けした少女の背後で、カメラに映ろうと数人が飛び跳ねている。
弥生は艦橋の全員、そしてモニターに映る全員を見回すと、
「みなさん、準備は出来ましたかー!」
『はーい』
「お弁当は持ちましたかー!」
『はーい』
「では、ブースター全開!」
『ブースター全開!』
機関部が繰り返すと、ブースターの回転数が上がる。オレンジ色が濃くなり、風切り音がうなるようなモーター音の甲高い物へと変わる。
と同時に白鷺高校校舎が細かく振動し始め、発生した風により砂煙が上がる。
「校舎ロック、解除」
副艦長の日菜子は言いながらコンソールにあるツマミを九十度回す。すると外部モニターにプラットフォームと校舎を繋いでいる円形のロックが映り、日菜子の動きと同期してロックが九十度回転。ロックが解除される。
それに合わせて振動が大きくなる。
普通の校舎であればバラバラになりかねない振動を、宇宙戦艦白鷺高校は全て吸収し、乗組員にはほどんど伝えない。
「それでは行きます!」
弥生は前方を人差し指で差すと、
「宇宙船白鷺高校、発進!」
元気に宣言した。
それと同時に推進力が解放された宇宙船白鷺高校は、宇宙へ向かって垂直離陸を始めた。大きな飛行機雲を残して。
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