最弱スキル〈保存庫〉を笑われ追放されたけど、中に神代の秘宝が眠ってました
妙原奇天/KITEN Myohara
第1話 追放――倉庫スキルの男、覚醒す
「――お前みたいな奴、もう二度と顔を見せるな」
その言葉が、俺の人生を変えた。
冒険者ギルド〈暁の剣〉の面々が、まるでゴミを見るような目で俺を囲む。
リーダーのグレイが金の髪を払って、吐き捨てた。
「役立たずスキル〈保存庫〉。荷物を仕舞うだけ? そんなもん、猿でもできる」
仲間たちの笑い声が響く。
「戦闘中に荷物整理?」「“倉庫の勇者”だってよ!」
誰も止めない。誰も庇わない。
剣士も、魔法使いも、かつて命を預け合った仲間すら、
今は俺を“失敗作”として切り捨てた。
「……わかった。抜けるよ」
静かに言い残して、俺はギルドを出た。
扉を閉めた瞬間、背後で笑い声が弾ける。
「はは、荷物持ちが英雄になれるわけねぇだろ!」
夕暮れの風が冷たく頬をなでた。
街を離れ、森へと歩き出す。
たった一つのスキル――〈保存庫〉だけを頼りに。
*
……俺のスキル〈保存庫〉は、確かに地味だ。
ただ“しまう”だけ。出すのに三秒、戦闘では致命的。
でも、ひとつだけ誰にも知られていないことがある。
――このスキル、底が見えない。
最近、入れたものを取り出すたびに、奥に“何か”がある気がしてならない。
深淵のような空間。その先に、扉のような――。
「……確かめてみるか」
森の奥。
陽が沈み、月光だけが地面を照らしていた。
俺は掌をかざし、〈保存庫〉を展開する。
空中に黒い魔法陣が浮かび、光が溢れた。
その中に――“扉”があった。
見覚えのない、古代文字が刻まれた漆黒の扉。
「……なんだ、これ」
指先で触れた瞬間、
脳裏に声が響く。
――〈封印を解く資格、確認〉
――〈所有者:レオン〉
――〈神代記録庫、起動します〉
眩い光。世界が反転する。
*
気づけば、俺は光のない空間にいた。
そこには無数の“棺”が浮かび、ひとつひとつに刻まれた名――。
〈秘宝:竜殺しの剣〉
〈秘宝:世界樹の根〉
〈秘宝:失われた王冠〉
伝説。神話。すべてが、ここに眠っていた。
俺の“倉庫”の中に。
「……これが、俺の〈保存庫〉……?」
息を呑んだ瞬間、背後から声がした。
「ようやく見つけた――“継承者”」
振り向くと、そこに立っていたのは蒼い鎧の女騎士。
その瞳は氷のように澄んでいて、俺をまっすぐ見据えていた。
「あなたが、“封印庫”を継ぐ者なのですね」
その言葉が、俺の運命を決定づけた。
笑われた最弱スキル〈保存庫〉。
それは、神々の遺した“世界再生の鍵”だった――。
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