第1話 出会い
私はいつものようにネガティブになって、家の近くにある公園に言って、ベンチに座り靴を脱いで、両足を乗せて体を丸めて蹲っていた。
すると、「どうしたの?」と私の隣で一人の男の子が声がした。まるで音を立てずにスーッと静かに寄り添ってきた猫みたいに彼は現れた。私はそんな心配そうにこっちを見ている彼に「別に。」と愛想無く返した。彼にとっては私の悩みなんて関係ないことだし、見知らぬ人に迷惑はかけられないなと思ったからだ。
でも、彼は「君も辛いことがあったんだよね?」と諦めずに話しかけてくる。私は妙に「君も」という言葉が気になった。彼も今の私と同じように、過去に辛い思いをした経験があるのだろうか。私は疑問に思って「どうしてわかるの?」と彼に聞いてみた。
すると、彼は「わかるよ。だって、僕も同じだから。」と言った。私は驚いて顔を上げた。
そこには私の目に映る猫耳パーカーを着た大学生くらいの一人の男の子の綺麗な赤い瞳が、こちらをじっと見つめて笑っている姿があった。
こんなに綺麗な赤い瞳をしているのに優しさを感じるのはなんでだろう。そう思っていると、彼が「やっと、こっち見てくれた。君は僕が怖くないの?」と聞いてきた。私が「どうして?」と返すと、彼は一瞬困った顔をして「ううん、なんでもない。」と言った。
それから彼は「君は僕を見ても何も思わないみたいだから嬉しいな。」と言って少し悲しそうな顔で笑った。そのとき私はやっぱり彼も過去に辛い思いを経験したことがあって、何かトラウマがあるんだと思った。だから、私は「お互い、大変だね。」と彼に言って少し微笑んだ。すると、彼は少し驚いた顔をして「そうだね。」と言って私に優しく微笑んでくれた。
その後、彼は「でも、だからこそ僕は君と出会えてよかったと思ってるよ。」と言った。私は驚いて「どうして?」と不思議に思って聞いてみた。すると、彼は目を閉じて少し間を置いて「だって、君と出会えて嬉しかったことが一つ増えたから!」とまだ暗い私の瞳に優しく微笑みながら、嬉しそうに話している彼の姿が写っていた。
その時、私は彼のそばに居たら今の辛さが少しでも軽くなって、自分自信も何か変われるかもしれないと思った。私は勇気を出して「また、会える?」と彼に聞いてみた。すると、彼はニコッと笑って「もちろん、いつでもこの公園で待ってるよ。」と優しい声で言った。
それから私は迷い猫みたいに現れた彼に手を振って挨拶をしたあと、公園を出て家に向かいながら、名前を聞くのを忘れたことを思い出して、モヤモヤしながら夜眠りについた。
次の日、私は昨日と同じように公園に向かった。すると、そこには昨日と同じ猫耳の男の子がベンチに座っていた。私はまた彼の姿を見れて少し安心した。彼は私に気づくとこっちに向かって、優しく手を振ってくれた。私は手を振り返しながら、彼の座っているベンチの隣に座る。彼のそばにいると、心が温かさでいっぱいになる気がした。
私は勇気を出して「私、今まで辛いことが重なっちゃって...。」と彼に過去のことを話し始めた。そんな私に、彼は優しく少し悲しそうな顔で笑みを浮かべながら、私の話を黙って聞き続けてくれた。私は少し俯いて「その辛いことを少しでも変えようとして頑張ったけど、結果は報われなくて、また辛さが重なって、どんどんネガティブ思考になって、勉強が頭に入って来ない日が続いて。でも、また少し勉強できるようになって来たんだけど、それでも過去の辛さのせいで、人間不信が強くて。今でも周りの目とか、行動を気にしちゃったり、年齢とか性別とか関係なく、周りの人に少しキツイ言葉で何か言われたりすると、怖くてたまらないし、すぐトラウマになっちゃう。」と彼に過去のことを話し終えた。私が話し終わると、黙って静かに話を聞いていた彼は、少し悲しそうに微笑んで「よく頑張ったね。」と言って、私の頭を優しく撫でてくれた。私は驚きながらも「でも、私より辛さを抱えてる人たちだって沢山いると思う。」と言って俯いて話すと、彼が突然、腕を広げてぎゅっと抱きしめてきた。
私は驚きながらも、彼の優しさと過去の辛さを思い出して気づいたら涙が止まらなくなっていた。私は涙を流しながら「もう、辛いのは嫌だよ。自分が悪いのに理不尽に何回も家族を怒らせて、酷い時は家族を怒らせたくせに勝手に一人で泣いてたこともあった。我慢はもう今まで沢山、数え切れないほどしてきたつもりなのに、まだ我慢しないといけない。耐えなきゃいけない。できることならもう...。」と彼の腕の中でたくさん思ってることを吐いた。
私の吐く言葉が止まると、彼は抱きしめたまま「こんな辛い世界で生き耐えるよりは、消えた方がマシ?」と私の耳元でそっと呟いた。彼の抱きしめる力が少し強くなる。
私は「えっ。」と驚いて思わず声を出した。気づいたら、もう涙は止まっていた。私はしばらく間を置いて、彼に「生きたい。今まで何度も辛いって思ったし、酷い時は口に出しちゃうこともあった。だけど、本当はどんなに辛くても、苦しくても、消えたいって何度思って言葉にしたとしても生きていたい。家族が大切に育ててくれた分、私も自分自身を大切に思いながら生きていたい。」と言いながら私の目にはまた涙が溢れていた。
彼は抱きしめていた腕を離して、少し悲しそうに微笑んで、私の涙が止まるまでまた頭を優しく撫でてくれた。
弱虫のヒーロー まるねこ @maru_neko
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