円柱
曖惰 真実
円柱
社会は四角で満ちている。四角い乗り物が四角い生き物を運ぶ。四角く聳え立ったビルで、四角いデスクに向かい、四角いディスプレイで、四角い情報を交換する。合理という型枠で組み立てられた社会は自ずとその姿を四角くしてきた。視覚で得られる人情報はディスプレイに映し出された情報と同じく四角い。正面から人間の形だけを捉えると四角形である。その視覚から得た四角形と対話し中身を認識する事で奥行きが生まれ、四角形は円柱に近づく。それは相手が形を変えたのでは無く、正面から捉えていた自分の視点が情報という角度を以て、対象を観察する座標を変えたからだ。人間が人間を捉える時、相手の情報を、四角形を重ねてその形を円柱と理解するのだ。
しかし人間は四角形の積み重ねで人間と成るのでは無く、成長の過程で円を積み重ね、それが人間と成る。感覚という円を、その面積が完全には計算出来ない円の積み重ねによって人間は成長していく。人間を四角形で知っていくというのは円上に点を打ち多角形の角を増やす作業であり、相手の事を知るたびに形は円に近づいていく。だがその多角形を完全に円にする事は出来ず、相手を完全に理解することも亦た、不可能なのである。
円柱 曖惰 真実 @aidamakoto
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