僕と君は違うから

@Applesan

自己嫌悪、サキュバスそれと優しさに関する相互作用について

第1話 

近年、ボール遊びが禁止され活気がなくなった遊び場。ただ歩き回った末にたどり着いたであろうその公園。

そんな寂寥すら感じさせる場所で少年は一人すわっていた。橙色に滲む空、じじじと鳴くツクツクボウシの声、包み込むような夕焼けが酷く眩くて今は自分を嘲笑っているかのようにすら見える。

なんでこんなことをしたんのだろうか 心中で呟く

口を動かす気力すら消失した。何を言う気にもなれずただ衝動で息をする。反応に過ぎない行動を惰性で繰り返す焦燥、無力感、それらが鉛のように積み重なり自分を痛めつけているような錯覚をおぼえた。端的に表現してしまえば辛い。何がと言えばわからないくらいには多かった。他者への期待、それらへの裏切り、自分勝手な期待に対する自らへの失望。さらにそれを変えようともしない粘ついた自分への嫌悪感、衝動でしてしまったことへの罪悪感。そんな胸いっぱいに広がる苦しさが辛かった。

まだ暑さの残る9月の終わり、そんな時期だ

「こんなとこで何してんの?」

そんなことばどおりのなんでもないといったことばが耳に届いた。鈴のようななんて月並みな表現が足りないくらい澄んでいたこえだった。自分に言っているのだろうかと疑問に思い、それでも俯くことを選んだ。顔を上げたくなかったのだ。声を発したのが誰であれ今はそんな余裕すらなかった。

「なにしてんのって聞いてんじゃん、無視すんなって」

あろうことか その女であろう声は隣に降りてきたのだ。

それでも沈黙を選ぶことにした。いまは人と接することも辛い。すると、突然肌に冷たいものが当たった感触がした。

「つべたっ」思わず反射で顔を上げる

「コレあげっからなんか話せ?」それはペットボトルに入った水だった。勝手に話しかけといて随分押し付けがましいやつだ。ここまで来るとと苛立ちが湧いてきた。流石に文句でもいってやろうと思い断腸の思いで声をかけることにした。

「あのっ」「お、なんかいう気になったか。なんでもいいから話してみ?」

相手に先手を取られてしまった。しかも悪気なんて一切感じない笑顔でこっちを向いている。怒りが萎んでいくのを感じ、むしろ無視したことへの申し訳なさが先に募っていくことを感じる。

「無視したことは気にしてないから、ほら」と心を読まれ悪魔的というか悪魔そのもの野、翼と羽を覗かせる

コレだから悪魔は嫌なのだ、どこまでも、人を見透かしていてそれでいて相手の考えは読めない。それでも相手が自分を気遣っている以上それを無視することはできなかった。そうしてしばらく自分の考えをまとめたのち、僕はようやっと重い口を上げることにした。

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