9.海に行く(願望)

「結婚は冗談として……責任は取っていただきますわ」


「具体的にはどうすればいいんだ?」


「海に行きましょう」


「俺たちはすでに宇宙という大海を彷徨さまよっているのだが?」





「真っ白な砂浜……エメラルドグリーンの海で遊ぶのですわ」


「近くにそんな星あったかなぁ」


「とりあえず水着を買いましょう。可愛さ倍増のキュートなものを買いますわ」


「お色気いろけ倍増のセクシーなものは買わないんだな。まあ倍増してもゼロはゼロのままだからな」





「水着を買ってきましたわ」


「どこで買ったんだ」


「しまむら」


「うむ」





「でもやはり近くには泳げそうな海がありませんわ」


「水着は売っているのに海はないのか……」


「温泉用の水着なのかもしれませんわ」


「確かに温泉で海みたいに泳いでいるやつがいたからな……」





「というわけで海はないけど水着を着てみたのですわ! スポーティで可愛いですわよね!」


「水着は可愛いな」


わたくしも可愛いですわよね!」


「お前には薄着をして貧相な体を晒すより厚着をして誤魔化すことの方を推奨する」





「ふふ、海で流されて無人島に流れ着いてしまい二人きりで過ごすシチュエーションとか妄想してしまいますわ」


「この世界には無人島しかないし、二人きりで過ごす以外のシチュエーションが存在しないのだが」





「いいえ、二人きりではございません。何故ならあなたのそばには、あのにっくき蜘蛛女がおりますから……」


「可愛いハエトリグモを相手にそんなに憎悪するな」


「可愛いって言ってもらえるだけでも憎悪の対象なのですわ……!」

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