時間

sazo

第1話 時間

 もし、過去に戻れるなら…そう思うことは往々としてある。

ぼくもその1人だ。もし戻れるならこうしたい、あーしたいとか。


『なぁ、過去に戻れたら何がしたい?』とそう言ったのは、ぼくが死ぬ手前の走馬灯の自分の声。

どうやら、ぼくは死ぬみたいだ。


目を閉じたら目の前にシステムウィンドウみたいなのが表示してる。


【お知らせ】

時間スキルを獲得しました。


その意味がわからないけど、気づいたらやり直したい場面に戻っていた。


ぼくはトイレの中で、スマホを見ながら天井を見上げた。やり直す前は、叫んでいた記憶がある。

これがやり直しってことか。


スマホに表示された画面をひっそり閉じてぼくはやり直したいと思った理由を始める。

トイレを出て、会社に辞表を出して、証券会社に口座開設してとある株を買う。

そうして、君と出会う前にやるべきことがあると知ってる。


急ぎ、ぼくはパスポートを取得した。

やり直しの最初の1日は準備だった。


2日目のぼくはスキルのことを考えた。まず、この意味を知ることでできることの幅が広がる。ステータスオープンと唱えても何も表示されていない。

次に目を閉じてスキルを思い浮かべる。そうしたら、動画の再生シーンとボタンが配置されていた。

理解した。

ぼくの人生の時間を動画のように操作できるのだ。試しに一時停止したら、時間が止まっていたし、早送りしたら早送りされていた。巻き戻してやり直したらその先の物語(人生)が変わっていた。なるほど、時間の定義はパラレルワールド理論があったけど動画と例えるとこうなるわけか。


ぼくは早速、足りない時間を一時停止してやるべきことの準備した。

今のぼくに足りないのは時間とお金だ。


株価を不正操作してないけど、早送りして株価を記憶して巻き戻して株を買い漁り、利益を作りお金を作り出した。


総額60億円


それが1ヶ月のことだった。

ビットコインの換金の手数料がバカだからやるわけないだろ。


そうして、ぼくは時間とお金を手に入れた。

だが、まだ始まったばかりだ。君と出会うのは、後5秒。

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時間 sazo @sazo

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