第十四話 「最強パーティの集結」
王都の空を覆う巨大な魔法陣。
それは黒衣の魔導士が放とうとしている禁呪――街ごと飲み込む破滅の光だった。
「ククク……王都は闇に沈む。人も、王も、民も、すべて無に帰すのだ!」
狂気の笑い声が響き、兵士も民も恐怖に膝をついた。
だが、僕たちは立ち止まらなかった。
「カイン!」
リディアが王家の魔剣を掲げる。
「あなたとなら、必ず打ち破れる!」
「神よ……この身を捧げます!」
エリナが両手を組み、聖光を大地に降ろす。
「はっ、最高に燃える展開じゃないか!」
セシリアが剣を担ぎ、笑みを浮かべる。
そして僕は蒼刃の大剣を握りしめた。
「……みんな。ここで終わらせよう。僕たちの力で!」
◆◆◆
黒衣の魔導士が詠唱を加速させる。
空の魔法陣から黒い雷が走り、王都を飲み込もうとした瞬間――。
「〈聖域結界〉!」
エリナが全力で祈りを捧げ、光のドームが広場を覆った。
雷撃が結界にぶつかり、轟音と共に弾け飛ぶ。
「ぐっ……! でも、長くは持ちません!」
「時間を稼げばいい!」
セシリアが駆け出し、魔族兵を次々となぎ倒した。
「王家の血よ、応えよ!」
リディアが剣を掲げ、蒼刃に王家の魔力を流し込む。
蒼と白の光が交差し、大剣が轟々と輝きを増した。
「……これが、みんなの力……!」
◆◆◆
「来い、継承者!」
黒衣の魔導士が両腕を広げ、禁呪の核を解き放つ。
空から漆黒の隕石のような魔力塊が落ちてきた。
「このままじゃ王都が消える!」
「カイン!」
仲間たちの声に背を押され、僕は大剣を天へと掲げた。
「〈魔力記録〉――全解放!」
炎、雷、氷、土、聖光。
これまで写し取ってきたあらゆる軌跡を重ね合わせ、剣に流し込む。
蒼刃が震え、世界そのものが呼吸を止めたかのように静寂が訪れる。
「禁呪――〈蒼刃の叡智〉!」
一閃。
蒼白の光が隕石を貫き、黒き魔力を霧散させた。
轟音と共に空が裂け、王都を覆っていた魔法陣が崩れ落ちる。
◆◆◆
「ば、馬鹿な……!」
黒衣の魔導士が後退する。
「禁呪を……破っただと……!?」
「僕だけじゃない。仲間の力だ!」
リディアが隣で剣を構え、エリナが聖光を降ろし、セシリアが血に濡れた剣を振るう。
「お前たちが恐れた“最弱従者”は、もういない!」
「ここにいるのは――最強のパーティだ!」
僕の叫びに呼応するように、仲間たちの力が一つに重なった。
◆◆◆
黒衣の魔導士が最後の悪あがきのように叫ぶ。
「ならば、我が命と引き換えに――!」
その身体が黒い炎に包まれ、魔族の巨体へと変貌していく。
角が伸び、翼が広がり、地を揺るがす咆哮が夜空を震わせた。
「来るぞ!」
僕たちは武器を構え、息を合わせる。
背中には民衆の視線。
この戦いに勝たなければ、王国は滅びる。
「……さあ、みんな! 最強パーティの本当の戦いはここからだ!」
蒼刃が唸りを上げ、仲間たちが応える。
闇と光の最終決戦が、ついに幕を開けた。
(第十四話・完)
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