自分の性別はわかりません。

新世界の超戦闘力特化アンドロイド

第1話 前編 〜作られた時の記憶〜

視界に差し込んだのは、刺すように白い光だった。

 

瞬き、という動作をするまでに数秒かかった。


耳元に、規則的な機械音が響く。



「起動プロセス完了。」

 



無機質な声が聞こえた。




目の前に長い白衣を着て、顔には透明なシールドをつけている博士が立っていた。


「成功したか。君は今日から人を救う任務をする。」


 ……人?

「人間。」

「そうさ。お前はそのためだけに、世界で初めて作られたんだ。」

「…そう。」

 



金属の枠組みの上に、人工皮膚が張られている。指先を動かすと、わずかな遅延と共に油圧の駆動音が伝わってくる。



「人間と同じ形をしているが、人間ではない。感情も、性別も、必要ない。」

白衣の人物は、淡々と告げた。




性別、感情...。人間そのものね。


 

「そうそう、君の名前は後々教える。」



名前…。



周囲を見渡す。壁は銀色の金属で覆われ、どこも同じように無機質だ。窓はない。

天井からは無数のコードが垂れ下がり、うちの体に繋がれている。


「これから、君には任務が与えられる。それが君の存在理由だ。」

存在理由?なにそれ。どうでもいいわ。


「そう。じゃあ、なんで動けないの。」



手からビームが出せるのね。他にも色々あるわ。



戦闘力特化型ってところね。


その途端、博士がコードを切り、台の上に連れてこさせられた。

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