第5話 掲示板に憤慨するヒロイン
――――【美里目線】
「なんなんだよ! このふざけた書き込みはっ!」
あたしの命の恩人で、自らの命も顧みず全滅寸前のパーティーを救った英雄とも言うべき日向哪吒。そんな日向を誇らしいと思った私はダンジョン探索&配信に関する掲示板を見ていた。
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トップページ > ダンジョン配信
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【東都迷宮】ダンジョンエアプ勢【見習い探索者】
0663 この配信者が痛い!
迷宮探索校のリーダー日向が無謀にも単独パーティーでレイドボスに挑んでフルボッコにされたみたいだなぁ!
0664 この配信者が痛い!
日向って3Bのリーダーだったん?
0665 この配信者が痛い!
3Bの網代ばっか目立つからパーティー抜けて自分のパーティー作ったんじゃねえの?
0666 この配信者が痛い!
日向って、どっかで聞いた名前だな
0667 この配信者が痛い!
あれだろ? ダンジョン詐欺師
0668 この配信者が痛い!
日向小次郎か
ダンジョンマスターはいる! とかほざいてた奴
0669 この配信者が痛い!
詐欺師の息子が腕ちょんぱで飯ウマ!
0670 この配信者が痛い!
〉〉669
ちょんぱって、古すぎるからおまえ出禁な
0671 この配信者が痛い!
はあ? キッズは寝てろ
0672 この配信者が痛い!
馬鹿はほっとけ
0673 この配信者が痛い!
構うと湧く
しかし傑作だよな! 嘘つきの息子が見事に腕が無くなって、探索者人生終了とか
0674 この配信者が痛い!
それな!
0675 この配信者が痛い!
おまえらエアプすぎ
探索者の間じゃ、ダンジョンマスターを見たって報告例が上がってんだよ
0676 この配信者が痛い!
自演乙
0677 この配信者が痛い!
ご本人顔真っ赤
0678 この配信者が痛い!
いや日向って腕ないから書き込めねえだろ
0679 この配信者が痛い!
代理で打ち込んでんじゃね?
0680 この配信者が痛い!
何かさ 途中で 変なの 見えなかった?
0681 この配信者が痛い!
読点知らねえ、馬鹿が来たぞ
0682 この配信者が痛い!
馬鹿って 言った奴が 馬鹿
0683 この配信者が痛い!
うるさせえ、黙って俺の話を聞きやがれ
0684 この配信者が痛い!
うるさせえ草
0685 この配信者が痛い!
誤字ってる馬鹿
0686 この配信者が痛い!
NGワード:俺の話を聞きやがれ
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けど……。
見るんじゃなかった!!!
タブレットを掴んだ手がフローリングに向かって振るわれる。握る力より遠心力が勝ればタブレットは粉々だ。
だけど、そうはいかなかった。
『短気は損気』
日向があたしに教えてくれたことだ……。
あたしと日向との出会いは迷宮探索校でパーティーを決めるときだった。
親父の会社が潰れてしまい、逃げるようにして全寮制で学費免除の迷宮探索校に入学した。他の奴らと違って、あたしはダンジョン探索に興味がなかったが……。
『おまえ、金に困ってんだろ? ならオレのパーティーに入れよ。稼がせてやんぞ。まあそん代わり、抱かせてもらうけどな』
『あ? 別におまえの世話にならねえよ。他の奴を当たれって』
颯真が勧誘しにきたが、初手から身体目的とかキモ過ぎてきっぱり断った。
イケメンだからキモいおっさん並みのセクハラ発言しても許されると思ってる勘違い野郎のパーティーなんて誰が入るかよ、と一度は思った。
『筧美里さんだよね? ホント申し訳ない! 颯真の奴はかわいい女の子だと見境がなくなってしまうんだ。あいつの代わりに俺が謝るから許して』
あたしがかわいい!?
一見華奢に見えるけど、いい筋肉の付き方をしていてる。少し長い黒髪で真面目だけど、ユーモアが分かるあたし好みの男の子が申し訳なさそうに両手を合わせていた。
『べっ、別に構わねえって。それに……あんたに怒ってる訳じゃねえし』
『ホント!? 良かった。俺は日向哪吒、変な名前だけどよろしく。あと俺の妹が筧さんのファンでさ。いつも動画見て、感動してるんだよ』
あたしのファン!?
自分の過去を知る人間が迷宮探索校にいたことにびっくりしたと同時にうれしくて、気づくと日向の手を握り締めていた。
『あ、筧さん……』
『す、済まねえ……ついうれしくて……』
『いや俺もかな。妹にいっぱい自慢してやろうと思うよ。筧さんとクラスメイトになった上に手を握ってもらったって』
『そ、そんな……恥ずいって……それに筧さんってのもなんかなぁ。美里でいいよ、美里で』
『いいの? じゃあ美里さん、また妹が元気になったら会ってもらっていい?』
『さんも要らないって。あたしも日向って呼ばしてもらうから。妹さんのことなら、あたしがいつでも会いに行ってやるって言っておいてくれ』
バレエばっかやってて、あたしの見た目がギャルっぽいから変な男ばっか集まってきたせいもあって、同年代の男の子とまともに話したことなんてなかった。
日向と話してるとうれしいやら恥ずかしいやらで変な気持ちにさせられてしまう。こんなの初めてだった。
『あのさ、日向ってあいつと同じパーティーなんだよな? もし良かったら一緒に探索しねえか?』
『いいの!? だったらうれしいな。不束者だけどよろしく』
『あ、ああ……』
あたしは日向の屈託のない笑顔に絆され、颯真のパーティーに入ってしまった。
颯真のクソ野郎はムカつくが、それを差し引いてでも日向と一緒に時間を過ごしたいと思ったんだ……。
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