最後の一葉

まっちゃん

第1話 最後の一葉

 ジョンジーは寝たきりになったベッドの上で弱々しく言いました。

 「あの最後の一葉が落ちたとき、私も死ぬのよ。」

 スーは叱るように言いました。

 「あんな葉っぱがどうだってのよ!」

 「いいえ、三日前から判っていたことよ。もういいわ。一人にしてくれないかしら?」

 スーは三階建てのアパートに戻り、同じアパートに住むベアマンに泣く泣く相談しました。

 「…そんなことを言っていたのか。」

 「ええ、これから台風がひどくなるって予報も出ていたし…私、どうしたら…」


 ほのかにジョンジーに恋心を抱いていた、ベアマンにあるアイデアが浮かびました。


 「大丈夫…僕にまかせて。」


ベアマンはスーを見送ると、急いで車を出しました。


(ひどくなる前に作戦実行だな…)


 スーにとって、その日の夜はやけにゆっくりと流れていくように思えました。激しい北風が吹き、バタバタと音を立てて雨が雨戸を打ち付けていました。


 朝が来て明るくなると、ジョンジーは言いました。

 「雨戸を開けて。」


 最後の一葉はのです。


 「いやぁぁぁ!!!」


 ジョンジーは暴れるばかりに泣き叫びました。その時です。


「ばか野郎!」


 勢いよく入ってきたのは青年でした。


「ベアマン!?」

「いいや、通りすがりの賢者さ。外に行くぞ。車椅子に乗れ。」

「あぁぁぁ! 私は死ぬのぉぉ!」

「ちょ、ちょっと患者さんを」

「るせぇ」


 ベアマンはジョンジーを無理やり車椅子に乗せると庭に出ました。


「これを見ろ」

「これは…」


 そこには朝露に光る双葉があったのです。


 「新しい命、再生。それが自然だ。お前も絵描きのくせに、今まで何を見て来たんだ? 」

 「あ、あ…私はすでに命を描いていた…。」

 ジョンジーの目には朝露と同じ光があった。

 「ベアマン、何をしたの?」

 ベアマンはスーに耳打ちした。

 「なぁに、ちょいとホムセンで適当な苗木を買っただけさ。」


 その後、ジョンジーとベアマンはなんやかんやで幸せな結婚をしたそうです。めでたしめでたし。


---

(2025.10.03 了)

三題噺「作戦」「双葉」「賢者」


https://americanenglish.state.gov/files/ae/resource_files/the-last-leaf.pdf

https://www.brewerb.com/files/The-Last-Leaf.pdf

を元に二次創作を作成しました。

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