瓶詰め
その生命機関を艶が出るまで煮込んで
見るに堪えないから砂糖も加える
文句が出たらおたまで掬って
だらりとした君に
僕の涙を一滴
瓶に詰めて
置いてって
僕を置いてって
大好きな、
骨はいらない
脳もいらない
僕を邪魔するものはいらない
瓶に入らないから
おいで
おいで
彼岸花が呼んで
おいで
彼岸花が、燃えてる
あなたに刻みつけるような朱
瓶を開けて
古びたトーストに塗る
ぺろりと舐めて
じゅわりと味わって
涎が顎を伝う
頬張って甚振って
貴女を想う
これは恋なの?
そうだよと指に舌を這わせる君
へー
そう
官能的な香りが肌を撫でる
憎らしいほどに身体を濡らして
そっちがその気なら
僕にも考えがあるよ
例えば
踊り子が銀の皿に乗せたいのは何かな?
ふふふふふ
あははははは
ね
面白いでしょう?
そう、あなたの身体は僕のもの
あなたの舌は
僕への愛を囁くために
あなたの腕は
僕を包み抱くために
あなたの命は
僕を灯すために
それ以外は要らないね
壊れた懐中時計にもならない
さようなら
僕の愛した人
僕はもう瓶詰めしか要らない
愛してたよ 愛してた
嫌いなほど愛してた
ああ、せめて
この香りくらいは、天に昇ってくれ
愛して 青燈ユウマ @yuma42world
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