ゼピュロス

不真面目な男と無邪気な少女。アンバランスな掛け合いが、滅びの真実を照らす。

ワン・ブレス思想を独自に利用したアスファリアは、開発と文化の破壊を同時に進め、やがて滅びを迎えた。人々は繁栄を夢見ながらも、思想の誤用によって自らの文化を食い潰し、最後には国そのものを失ったのである。その混乱の中で唯一生き残った属国の少女エルナは、文化記録局によって保護される身となった。しかし彼女の存在には、国の崩壊と深く結びついた謎が隠されていた。

文化記録局の補佐官カイロスは、任務の途上でエルナと出会う。飢えと疲労に倒れかけながらも必死に生きようとする彼女の姿に心を動かされ、局の規則に抵触すると知りながらも救いの手を差し伸べてしまう。都市へ連れ帰った彼は、孤独な日々の中で彼女と不器用な同居生活を始める。真面目…続きを読む