わたしは誰でしょう?

近郊

第1話

 これからあなたに問題をだします!

頑張って、当ててみてください。

当てることができたら、ご褒美です!

始めます。


「わたし」は誰でしょう?




「わたし」は目が大きいです。

「わたし」はからだがよごれています。

「わたし」はいつもあなたのすぐ側にいます。

今も。

「わたし」はいつも笑顔です。

笑顔でいなければいけないから。

そうやって、つくられたから。

「わたし」のからだはゴミ捨て場にあります。

もうすぐからだはなくなるでしょう。 

「わたし」はあなたのことが大好きです。

……でした。

あなたも「わたし」のことが大好きでした。

もう、あなたは忘れているでしょう。


あなたは「わたし」を捨てました。

あんなに遊んだのに。

初めて会った時、目を輝かせた「あなた」。

自分の意思で動けないわたしを、色々なところに連れて行ってくれた「あなた」。

新しい人形を買っても、変わらずわたしと遊んでくれた「あなた」。

……。

おしいれにしまわれ、ボロボロになった古い人形のわたしをみて、舌打ちして捨てた「あなた」。


あなたのせいです。

「わたし」は幸せな存在ではなくなりました。

だから、許さない。



 ……わかりましたか?

「わたし」のこと。

これを読んでいる「あなた」を、みています。

ずっと。

ずっと。

ずっと。

…………。


もう一度、質問をします。

 思い出してください。

答えがわかった時は、その時は、

あなたに、ご褒美を、渡しにいきます。

待ってて下さい。




わたしは誰でしょう?








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしは誰でしょう? 近郊 @kinkou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画