第8章 メツボウはつくれる! その4

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私たちが作った動画はどんな感じですかっ?!日本は滅亡しますかっ?!!」


目津房さんは、捏ぞ…“オリジナル”予言を楽しみにしているようだ。


「スゴい胡散臭…“それっぽい”出来の動画が出来たよ!」


目津房さんにアップロードした動画のURL(https://youtu.be/4FpejzZRbtg)を教えると、“ワクワク・ドキドキ”といった様子でスマホで視聴し始めた。


「私がいつも見てる動画っぽくて良いですねっ!」


「漢字を誤読してるところとか、しっかりオマージュできてますね!」


動画を作るときに意識した、“ちょっとしたこだわり”に気付いてもらえて嬉しかった。


「で、この予言動画の反応はどうだったんですか?」


「残念ながら…、“20再生”くらいしかされなかったよ…」


「20再生でも充分ですよ!20人がこの予言を見てくれたんですから!」


考えてみれば、私は動画投稿初心者だ。

初めての動画投稿なのだから、“20再生もあった”ことを喜ぶべきだ。

目津房さんに救われた気がした。


「ありがとう!そう言ってもらえたら苦労した甲斐があったってもんだよ!」


「これからも、どんどん予言を作って動画投稿していきましょう!」


「へっ?」


目津房さんは、これからも捏ぞ…オリジナル予言を発信していく気のようだ…

「それってどうなの?」という気もしたが、世に溢れる“間違った情報”の見分け方のようなものを発信すると考えれば、それはそれで有意義かもしれないと思った。


「じゃぁ、もっと予言のことを研究しないとね。」


「はい!また新しい予言を仕入れたらお話しますね!」


目津房さんは楽しそうにそう言うと、昨日、一昨日と同様にスキップしながら帰って行った。


もしかしたら私は“厄介ごと”に片足を突っ込んでしまったのかもしれないと思ったが、楽しみにしている自分もいることに複雑な気分だった。

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NMKからきました。 Fuc休 @Fuc_Kyou

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