第2話 月光照射改

 アリレイさんのアジト(?)についてから、お仲間にいろいろ話を聞かされるうち、何となくこの世界が掴めてきました。


「ここは外罵琉都荒野。力だけがものを言う世界だ。あたしたちはチーム『月光照射改』。先代から誇りを受け継ぎ、縄張りを死守する暴虐の走徒」


「は、はぁ」

 なぜこういう方たちって無駄に漢字変換を好むのでしょうか。月光照射の射っていう字、「木」になってたのを×して書き直してましたし。


 彼らがホワイトボードに書いて説明してくれるのを、眺める私は懐かしい木の椅子に座って机に肘をついています。ここは廃校。もとは中学校でしょうか。っていうかこの世界にも中学校ってあるんでしょうか。


「オマエ今、この場所について考えたな? ここは学校ではない。それっぽくこしらえた、セットみたいなものじゃ」

 黒いマスク、赤のチャイナドレスに特攻服を羽織った銀髪の娘が、心を読んだように教えてくれました。


「せ、セットなんですか」

「あぁ。我々戦闘芸をたしなむ者たちは、一般世間から隔離されとるけぇ」

「え、どういうこと…ですか?」

「そのままじゃ。社会に迷惑かけるから、このフィールドに押し込まれとるんよ」

 この人は確か、春茜(はるあかね)さん。

 チャイナドレスに細身の身体、アリレイさんとは「S中の同期」だったそうです。


「どこ中ってのは、出身の中学のことじゃないことくらい、分かってるんだろう?」

 アリレイさんは、きょとんとして言います。

「中っていうのは、 戦闘芸を教えてくれる塾みたいなもののこと。義務教育後、この道に進むと決めたら、中の師匠に弟子入りすんだよ」 

 わたくし、そんなものは存じ上げませんが……。

「言っとくけど、リーダー、偏差値1200だからな」

 小柄で幼い声の若葉色の髪の娘が横から言います。

 他人の事なのに腕組しちゃって自慢げです。窓奈佳(マドナカ)という名だそうです。着てるのはセーラー服っぽいけど学生ではないとか。


「せ、せんにひゃく…?」

 そんな偏差値聞いたことないんですけど。

「中における、テストの成績で決まるんだよ」

「それって、最高いくつなんですか?」


「1500に決まってんだろ」

 し、知りませんでした。


「75は頼りないっちゃ頼りないが、未経験者としては見込みあるほうだから。鍛えればなんとかなる」

「高峰ならできる!」

 ひぃい。

 もしやわたくしその、戦闘芸とやらに参加することに決まっちゃった感じ…ですかね……

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弱音を吐けないレディース総長が、俺の前でだけ泣くんですケド…脈ありってことでいいんですかね? 国府春学 @syungaku-kou

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