第20話 ガッチェス・マクリウス

「おい、ロイ・クロフォード。」


ロイが歩いていると後ろから声をかけられた。


「はい?」


返事をし振り返ると。


そこに立っていたのは数か月前廊下でぶつかった男が立っていた


「俺様はガッチェス・マクリウス。この前言った事覚えているか。俺様をコケにしたお前を潰しに来た。」


ガッチェスと名乗った男は腰に木剣を装備し指をさしてきた


「あの、別にコケにしたつもりはないんですが。。。」


ロイは困った様子でガッチェスを見る


「そんなことはどうでもいい。お前が気に入らんから潰すんだ。もうすぐ卒業だしな」


ガッチェスの言い分に少しあきれたロイは嫌々相手をすることにした。


演習場にたどり着いたロイはガッチェスに木剣を渡され渋々模擬戦をすることとなった


ガッチェスが木剣を構えると見覚えのある構えだった。


剣道だ。両手で剣を握り刃先を前若干上に突き出し右足の踵と同じラインに左足の親指が来るよう足を引く。


「いい構えですね、ガッチェス先輩。」


ロイも同じ構えをとる。


ガッチェスは驚いた。「なぜおまえがマクリウス流剣術の構えをとれる。」


心の中でロイはあたりまえだろう。前世でどれだけ剣道をやってきたと思ってる。


と言いながら「なぜでしょう。」と口では言った


途端ガッチェスの叫びと共に面を狙ってくる。


ロイはとっさに木剣で受け、足を後ろに引き相手の木剣を打ち上げ下がりながらに胴を決めた。


もちろん防具など着けておらず、鈍い音と共に鈍痛に叫ぶガッチェスの声が演習場に響きわたる。


「ガッチェス先輩、こんなものですか。」


少し煽るように見下すロイに腹を立て突きを繰り出すガッチェス


「無様。」


ロイはつぶやき半身を回転させ面を打ち込む。


再び鈍い音が響く。


30分ほど過ぎたとき。


ガッチェスの顔は腫れあがり。体も痣だらけで見るも無残な姿だった。


「もう終わりでいいですか?」


ロイは木剣を下ろし問う


「は、はい。すびばせん。」


腫れた口でうまく話せないのか何とか聞き取れた謝罪のロイはニコっと笑い


「それじゃあ先輩!」


とその場を去った。




数日後


4年生は卒業しそれぞれの道を歩んでいく。


そして、ロイは10歳を迎え2年生として学園生活を送る




季節は春少し背が伸び髪を短くしたロイは新たな魔法を研究していた。


片目の傷、古いローブにリストバンドを付け半日は図書館に入り浸る生活を送ってた。


「なるほど。人間は生成系の魔法が得意でエルフは攻撃、獣族は身体強化、魔族は全般バランス的にかそりゃゾロアは強いわけだ。」


声が少し低くなり本を見ながら内容を口ずさむロイ。


本を元に戻し校庭に向かう。


ロイは極大魔法の研究も進めて行っていたが未だ進展はなく残り2年の時を待つしかないのかと思っていた。


「うっ。」


最近頭痛が酷い、なにが原因かもわからないけど。


最近頻繁に激痛が走る。マナの使い過ぎだろうか、少し休もう。




鎖を引きずる音が響く。


銀髪の美しい女の子は鎖につながれ歩いていた。


「マナの供給ご苦労だった。4年の予定だったが、新しいエネルギー原を見つけたから用済みだ。コルティーナ姫。」


老人の冷酷な一言にも無表情な女の子コルティーナ


「あんたら神族の未来はすぐに費えるさ。私と彼がきっとお前らに罰を与える。」


鎖が砕けコルティーナはその場を飛び立ち去る。


「お、おい!追え!!!絶対に逃がすな。コルティーナが生きていることが周知されては計画が破綻する!」


神族のフードを被った集団がコルティーナの後を追う。

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