第9話 反響
聖女様・ラノベ専門店のお姉さん・インフルエンサーのお姉さんという、美人お姉さん三人によるラノベ紹介動画がバズった。
インフルエンサーの力を借りたとはいえ、予想以上の反応の多さだ。もっとも、聖女様だってことを知ってるのは俺だけで、本名のセイリーンと名乗っている。
動画にはコメント欄があるので見てみると、『みんな可愛い』とか『ファンになった』とか、やはり三人についてのことがほとんどだ。
そんな中、『ちょっと読んでみたい』とか『その店に行ってみようかな』といった、ラノベに対してのコメントも少ないながらある。
そして動画が公開されてから一週間。実際に来店する人が増えたかどうか確認するために、行ってみることにした。
すると動画公開前よりも明らかに、店内に人の姿が増えていることが分かる。
「すごい反響じゃないですか」
「いやぁ、正直言って私もここまで効果があるとは思ってなかったよ」
「売り上げはどうですか? 増えましたか?」
「それはまだあんまり実感ないかな。だけどいろいろ聞かれることは増えたよ」
「おお、よかったです。それって興味を持ってくれてるってことですからね」
「そうだね。それが本のことだけならもっとよかったんだけどね」
「どういうことですか?」
「私について聞かれることも増えたんだよ。まったく、私のことなんてどうでもいいと思わない?」
なるほど、つまりはナンパってことか。動画で見た人に直接会えるんだから、気持ちは分からんでもない。「もしかしたらイケるかも?」なんて淡い期待を抱いて来るんだろうな。
「全く興味を持たれないのも寂しいと思いますよ」
「ま、それもそうだね。そういえば新刊入荷したよ」
そんなやり取りをしていると、インフルエンサーのローザさんが姿を現して俺達のもとへやって来た。俺達店内にいる数人の客はまだ気が付いていないようだ。
「おぉー、人増えたねぇー。私も嬉しいよー」
「こればかりはローザのおかげだよ。ありがとう」
「どういたしましてー。でも私だけの力じゃないと思うなぁー」
「そうだね、セイリーンさんの存在が大きいだろうね。なんというか、あの人はどこか神秘的で美しい雰囲気があるよ」
「そうだねぇー、それは私も感じたよ」
なかなか鋭い二人。オーラとでも言うべきか、やっぱり聖女になるべくしてなった人なんだな。
実は話題のセイリーンさんはもうすぐここに来る。聖女様の護衛であるアルマさんを通して待ち合わせをしているんだ。
「そのセイリーンさんなんですけど、実はここで待ち合わせをしてるんです」
「そうなんだね。……おっ、噂をすれば、かな」
入り口には聖女様が立っており、俺達を見つけるとこちらに近付いて来た。
「こんにちは。みなさんお元気そうでよかったです」
「セイリーンさんこそ」
「セイリーンさんもねー」
二人に続いて俺も返事をすると聖女様と目が合った。二人には悪いけどこれは俺と聖女様との秘密の関係だから、さすがに言うわけにはいかない。
「セイリーンさん、来店ありがとうございます」
「私、このお店がとっても好きになりました。もっと早くから来ておけばよかったなって思います」
「それは光栄です。ところで今日は待ち合わせと聞きましたけど」
「はい。ここにいるハヤテ君からのお誘いなんです」
「へぇ、ハヤテはセイリーンさんを狙っているんだ」
「違いますよ、俺と同じで動画配信の反響が気になってたそうなので声をかけたんです」
「またまたー、ウソばっかり」
そんな会話をしていると一人の男性客が近づいて来た。30代半ばくらいだろうか。
「すみません、もしかしてローザさんですか?」
「はい、そうですよー」
「やっぱり! いつも見てます! それに他のお二人も動画に出てましたよね! 僕、あの動画を見てここに行ってみようと思いました!」
「それはありがとうございます。ということは、こういう本に興味を持ってもらえたんですね」
「はい、それはもう! 実はあの動画を見るまでは存在を知らなかったのですが、実際にこうして読んでみると面白いですね」
「私としてもこうして興味を持ってもらえることが何よりも嬉しいです」
「それでですね、実は僕こういう者でして」
そう言って男性客が取り出したのは名刺のような紙だ。この男性客は動画配信の事務所を立ち上げているらしい。
「どうでしょう、僕にサポートさせていただけませんでしょうか?」
どうやらスカウトされたっぽい。
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【あとがき】
更新が止まって申し訳ありません。他の作品を含め、書く時間がとれませんでした。
そんな中さらに申し訳ないですが、この作品はあと二話になります。ここまで応援・評価・フォローしてくださった方、本当にありがとうございます。
最終話で改めてお礼を述べさせていただきます。
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