第15話

「おい! そこは俺の席だ、さっさと退けろ」


 幸隆が声の主を見る。


 スキンヘッドで顔にも頭にも傷跡がある赤服で強面の大男がいた。


「そうだぞ、そこはポチさんの席だ!」

「新入りが座っていい場所じゃないんだよ!」


ごろつきの下っ端のような2人組みの連れは幸隆を見下し、かなり態度がでかい。


「ぷっ、アハハハハ! ポチ、ポチって、全然見た目とあってないんですけど、ポチは犬だよ?」


下っ端は青ざめた表情でポチを見つめる、幸隆は気にした様子もなく、食事を続ける。


「あ、あー。ごめんなさいね、笑ったのは謝ります。ごめんなさい。でも、譲る気はないわ、指定席とかないからさ。早いもの勝ちでしょ?」


「てめぇ、生きて帰れると思うなよ! 新入り!」


 ポチは幸隆の言動に怒りが限界に達しそうなのか、目が血走り鼻息も荒い。


「だーかーらー、譲らないって、席なら他にも空いてるでしょ。見てわからないの? ここじゃなきゃ嫌なら、そう言えばいいじゃない。俺の席だ! って子供じゃないんだから……」


 呆れ顔でいいながら、カップの野菜スープを飲む。


(あー、気分だけ味噌汁だわ。日本人なら味噌なかったら生きていけないからだよね。味噌汁のみたい)


 幸隆の手がポチに叩かれ、カップが床に落ち割れた。


「舐めやがって、俺を怒らせるとどうなるか、思い知らせてやる!」

「……何するんです?スープ勿体ない。人が食事しているのに、本当に見た目通り、野蛮なのね」


幸隆は野蛮を強調しながらいい、席から立ち上がり、ポチと対峙する。


「ポチさん、警備に見つかるとヤバいですって」

「煩い、俺に指図してるんじゃねー!」


 下っ端Aがポチに殴られ、そのまま机の角に頭を打ち動かなくなった。

 下っ端BがAに駆け寄る。


「リンガル、しっかりしろよ。なぁ、なぁ!」

「お、俺だって、そんなつもりじゃあ……」


 仲間を傷つけた結果冷静さを取り戻したポチが動揺した声を上げながら頭を抱えている。


 (魔法が使えないなら創造能力使うしか無い)


 幸隆は創造能力でエリクサーを創造した。

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