第14話「不死」
「ここは?」
白で統一された清潔感のある個室のベッドに寝ていて、入院着のような服を着ている。
(病室かしら?)
右手を見れば長い爪に鱗があるままだ。
「まぁいいか。どうやって部屋に戻れば良いのかしら? まぁ、なんとかなるか」
そのままドアへ向かい開けようとすると、ドアがスライドし、開いた。
(うお!? びっくりした)
幸隆が驚いた原因は自分を負傷させた女性が目の前に居たからだ。
「私に何か用ですか?」
「用がなければ、囚人に会うはず無いだろう」
「ですよねぇ」
「ベッドに戻れ」
「はいはい」
幸隆はふざけた口調でいうが女性は気にした様子もない。
「で、用とは?」
「貴様の種族と出生国を言え」
「なんでそんなことを聞きたいのですか?」
「言わねばまた負傷させる。お前達赤服は私の管理化だ。言った方が身のためだぞ」
(うわぁ……、やだやだ、こういう人嫌いだわ。この人も人権ないっておもってるんだろうなー……)
「私は記憶がないので、名前くらいしか言えないですよ?」
「嘘を言うなら、薬でも飲んでもらおうか」
女性は胸ポケットから薬瓶を取り出し、幸隆にチラつかせる。
「嘘なんかついてません。どうぞ、飲みますよ」
「なら、飲め」
瓶を渡された緑色の薬を飲み干す。
「お、チョコミント味ウマー」
「これが美味い? 貴様味覚おかしいんじゃないか?」
「えー……薬は薬なのね。罵倒されて悲しいわ」
「薬は効いている様子だな、貴様の種族と出生国を答えろ」
「ですから、わからないんです」
女性は目を見開いた。
「本当に記憶喪失だとは、これは研究しなければいけないか?では、貴様の腕や異常な再生力も分からないのか?」
「何の話ですか?」
「謎だらけだな」
「腕はまぁ、この通りですが、再生力とは?」
「私の魔法を受けて生きているだろう」
(確かにあれはヤバかった、死ぬかと思ったけど、不老不死だった。てへ)
「確かに、綺麗にないですね」
幸隆は服の上から腹をさすり、笑顔で答えた。
「その腕が関わっているのか?人ではないだろう」
「ですから分かりませんって!」
何度か尋問されたが、幸隆は否定し続けた。
「貴様は私の魔法を受け、全身引き千切れた後に再び血肉が再生した、無論魔族でもそんな芸当出来はしない、見たこともない種族だ。貴様は何なんだ」
「私は……、人です」
「……そうか。囚人服に着替え自室に戻れ」
幸隆は自室に戻ってきた、夕食の時間なので食堂へ向かう、席に座り食事を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます