三軒目

 学校の靴箱みたいな棚が入口から並び、その一つ一つに壺が置かれていた。壺には名前が書かれており、名前はもちろん苗字もバラバラ。

 恐らく村全員分の骨壷がこの家に収められていると思われる。

 窓は全部割れており、一部木々が入り込んでいた。湿った風がずっと通っていて、床はコンクリート製で、ひび割れこそあるものの腐って抜け落ちたりはしていない。苔が所々に生えていた。

 家というよりは、村の中で共有する形で使われていた何かの建物だ。

 奥には井戸や水場もあった。蛇口は錆びて回らない。ここ最近水が流れた形跡もなかった。

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