直哉の日記 3/25
ネットで見つけた旅館のレビューを読み進めていくと、ある一文に目が止まった。
――「村のお祭りに参加させてもらいました」
俺は目を疑った。兄貴が失踪したのは「明けサカヅキ」の夜。あの祭りは村の者しか参加できないはずだ。外から来た人間が混ざれるものじゃない。なのに、どうして参加できたなんて書いてあるんだ?
しかも、別のレビューにはこうある。
――「他の人は祭りに参加できたみたいなのに、自分は断られた」
参加できる者と、できない者。何が違う? どんな線引きだ?画面をスクロールする指が止まらない。褒め言葉や料理の感想に紛れて、ときおり祭りに触れる文が差し挟まれている。
……おかしい。
兄貴が消えたのは、明けサカヅキが行われる三月の終わり。なのに「その夜、祭りに参加した」と書かれている投稿の投稿日は、どれも九月だ。
明けサカヅキは春の祭りだと聞いたはずだ。じゃあ、どうして秋にも祭りの記録が残っているんだ?半年も遅れてレビューを書くなんてこと、あるのか?画面をスクロールする手がふいに止まる。胸の奥でざわめきが広がった。何かが食い違っている。
……もう少し調べる必要がある。レビューだけじゃ分からない。この差の理由を、確かめなくちゃならない。
サカヅキ様 ─ある村で行われている儀式について SHIKOH @SHIKOH
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