論理性は放棄しました〜ミステリーが「日常」の世界をメタ推理で生き抜きます〜

ぬまのまぬる

第0話 孤島の館&悪天候

 目の前には黒い古びた洋館とそれに併設した塔がそびえたっていた。


 庭にある巨大な池はよどんだ水面を不気味に光らせており、今にも怪物が出てきそうなおどろおどろしさがある。


 背後には波しぶきが降りかかる桟橋。海は荒れ始めており、空は厚い雲に覆われている。


 無意識に鞄の中のスマホを探していたが、この世界にスマホはないことに気づくと同時にさらなる嫌な予感が押し寄せてきた。


 この館に足を踏み入れてはいけない。


 なぜなら、このシチュエーションは。


 そんな予感が頭には渦巻いているのに、周囲の人々に連行されるように私は否応がなしに館へと足を進めていった。


 重厚な煉瓦の門が地獄への入り口に見える。


 私の予想が外れて、クローズドサークルなんかできず、ここから帰れることを祈るしかない。


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