第9話:真相②
彼女の記憶から、彼女が住んでいたという城を突き止めることが出来た。
以前に廃園となったある遊園地に建てられた西洋型の城だった。今は取り壊されており、彼女が住んでいたという形跡は見て取れない。
しかし、間違いなく、それが彼女の育った王国だった。
又、彼女が着ていたドレスの特殊な刺繍から、そのドレスの販売先が判明した。
普通の人間なら絶対に購入できないような金額の商品を扱う外国の販売店だった。
さらに、その線から捜査を続け、ついに彼女を養育した『父』と思わしき、ある資産家の存在に辿り着いた。
また同時に、警察内での彼女の事情聴取の様子を収めたカメラの映像が高額でその資産家に売買されていた不祥事も発覚した。
そして、
彼女の真実が、判明した。
その資産家には、彼女と思わしき子供はいなかった。
つまり、彼女に戸籍はない。
また、その資産家の周囲で彼女の存在を知る者も皆無であった。
それは、彼女は周囲の誰にも見つかること無く育てられた、ということを意味している。
恐らく、彼女は、
まだ言葉も理解していない幼子の頃から、
周囲から隔絶された環境で、
常識も社会も、世界の真実も全く教えられず、
【誇り高き魔法王国カインハートの王女にして建国の魔術師ローリエンスの末裔アルテミシアン】として、
【魔族の侵略から民を守る魔法使いの王女】として、
育てられた、のだ。
俺は、その資産家を取り調べる機会を得た。
その資産家は、いったい何を考えて、彼女を『育てた』のだろうか?
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