第2話 興味本位の学生恋愛

この街は、言わずと知れた東京である。時代は、平成元年。

5年前、タムラくんは、M大学に入学を期に、地元G県から上京してきた。留年を一年間経て、この春、無事に卒業した身である。

同期の友人たちは、皆、卒業とともに、ほとんどが郷里へ帰っていった。東京で就職する人はわずかであった。友人たちは、口々に、

「東京は、遊んだり、学んだりするにはいいが、働いて生活するには荷が重いかもな。」と言っていた。


タムラくんの、女学生友達の亜由美さんは、東京で就職するという。英文科の彼女は、幼児に簡単な英会話を教える教室に就職が決まっていた。

タムラくんは、亜由美さんと、大学3年生の時、三か月だけ付き合った。

当時、タムラくんは、亜由美さんにぞっこんだった。女の子と付き合うのは、初めてだったし、女というもの、体も含めて味を知ることになる。


まず、なんとなく、タムラくんは、彼女に興味を持つ。

大学の講義が終了したある日、カバンに教科書を入れていた彼女に、そっと歩み寄り、声をかける。すぐ意気投合した。電話番号を教え合いっこをする。何回か電話をしているうちに、デートして遊ぶようになった。


もちろん、ジャズ喫茶店「はるみ」でも、一緒に食事した。お互いを知り合うようになる。


映画館の暗闇の中で、初キッスを交わした。ふくよかな胸、腰つき、太もも、美しい背中、そして、初キッスの時に味わった女の子のやわらかい唇。


彼女のアパートで、初めて女性の前で裸になったこと、彼女も始めて男性の前で服を脱いだこと。色白の透き通った肉体を抱きしめたこと。初めてつける避妊具。そして、彼女の奥深くに入ったこと。彼女が痛がったこと。初めて女性でイッたこと。彼女は、ただ、「痛い、痛い。」と言って泣いたこと。


そして、二人の恋愛は、ただ、相手の性を知りたい、興味本位だったので、一回体験すると、お互い「こんなものか。」と納得してしまい、すぐ、お友達として、これからもお付き合いしようと二人で合意して、その恋はあっけなく終了した。


多分これは恋愛ではなく、ただ、お互い最終目的のエッチまで行くのに、三か月要しただけであった。


これほどまでに感激も感動もない愛が此処にあった。





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