第2話 同じ1年生なのに、、、

 大学に来て、私はバスケ部のマネージャーになった。私は中学生の時、副キャプテンをしていた。だけど、県大会の準決勝で怪我をしてしまい、決勝には出られず、チームは敗れてしまった。

 その時に男子の大会は始まったばかりで、八積君の泣いた光景を見ていた。


 「八積君って本当にどんな人かな?紅白戦の時は凄い気迫だったんだけどな!」


 そう小言言ってると、先輩のマネージャーが来て、いろいろとマネージャーの仕事を教えてくれた。でも、意外とやることはいっぱいあった。


 そんな中、1年生、2年生は今年は凄い選手でいっぱいだった。

 勢いでマネージャーやってたけど、同じ1年生でも、身重高いし、スピードあるし、そういう人ばかりじゃ、八積君はベンチにも入れないかな?

 って思ってた。


 キャプテンと監督がみんなを呼びミーティングをした。今年は1年生、2年生の混合の新人戦でも全国を狙うぞ!と、、、


 そして、また、紅白戦が始まった。八積君はベンチだ。そして、1年生、2年生の混合の新人戦に向けて、いろいろと監督はメモを取っているのを見た。

 八積君は紅白戦の後半でも、なかなか出ない。そして、監督は八積に指示出しを行なっていた。


 2年生の先輩マネージャーと話しして、

 「今年の1年生は凄い子が入ったけど、八積は身長がないし、ドリブルのスピードもちょっと遅いかな?」

 って私は言った。


 最後の10分間に八積君が出た。

 守りはまぁまぁできてる。そして、自分達のボールを持った時によくスペースができたところにちょうど良く入ってる。

 パスをもらって、シュートか!?って思った時に、良いパスを出してた。

 シュート決めないとアピールにならないとは分かっているはずなのに、どうしてだろ?

 って私は思ってた。


 結局、そのまま紅白戦が終わり、八積君の方のチームは勝っていた。

 八積君はアピールのシュートをほとんど決めてないのに、周りと笑顔のハイタッチを交わしていた。


 私としては3ポイントシュートを打って欲しかった。そして、居残りで1本だけ、3ポイントシュートを打った。


 「入った。やっぱり、武器はその3ポイントだとは思うけどな、、、」


 でも、監督やコーチとも話をしていた。

 

 そんな中、男子部員の1年生達が私に声をかけ、一緒に帰ろうと言った。

 私はたまには親睦を深めるには良い機会だと思い、他のマネージャーと共に一緒に帰った。その中に八積君の姿はなかった。


 八積君がいなかったので、連絡のメールを入れておいた。私は家まで帰って、連絡を待っていた。


 八積君から連絡が入り、「バイトが終わって、寝ます。」という文章が返って来た。


 「ハァーッ!!部活終わりにバイト!?学校もあるのにそんなんじゃ疲れ取れないよ!!」


 って思わず自分の部屋で大声で言ってしまった。


 すぐに他の先輩マネージャーに電話をしたら、

 何か家庭の事情で、昼ごはん代だけでも、短時間バイトを稼いでいるというのを聞けた。


 「そっか、家庭の事情か、、、なら、仕方ないか、、、」


 同じ1年生なのに、私は全然分かってなかった。今はそういう家庭って、多いのはニュースで知っていたけど、、、八積君もそうだったんだ。


 「スポーツ推薦で入れたなら、良かったなー!」


 八積君は一般入試で入っていたのを忘れていた。他の1年生の大半がスポーツ推薦だ。そりゃ、コンディション調整で楽できるよね、、、って思った。


 私の家も学校から近いから、多美ちゃんに夜中に電話して、バスケ部のマネージャーになった話とその話をした。


 そして、多美ちゃんは八積君は一人暮らしなのを話してくれた。


 「あー、八積君って一人暮らしなんだー。何か歯がゆいなー。」


 気がついたら、私は八積君の事だけをいつの間にか考えるようになった。

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