それでも、私は八積君を選びたい
篠崎 ムツ
第1話 オープンキャンパスで見た気になる男子
私は関本 樹(せきもと いつき)大学1年生で高校を卒業して、地元に近い大学に通ってる。
私には同じ1年生の気になる子がいる。キャンパス見学で見た男女で来ていた身重175cmくらいの普通のメガネをかけた男の子!
好みとかそういうのではなく、何となく惹かれちゃう!カバンに付けた特徴的なジュースの缶バッチ!彼を見て、何か惹かれるのを感じた!
「ねぇ、樹ちゃん、部活かサークルとか決めた?」
同じ学校出身の親友の多美(たみ)ちゃんが聞いてきた。
「いや、全然決めてないよ!まだゆっくり様子みたい!だって、遊んでるようなサークルとか、変な勧誘してくるサークルとか部活とかばかりだもん!!」
「樹ちゃんけっこうモテるもんねー!さすが、イケメン殺しのいーちゃん!!」
「その呼び方多美ちゃんしかしてないよ!」
「言い過ぎだったね!ごめん!」
と多美ちゃんとはいつもこういう感じで高校は過ごしていた。たった一回人気の男子を振っただけで、多美ちゃんしか話してないし、皆知らない。
高校の頃付き合っていた人はいたが、体を触る事しか考えてない。そういう人ばかりと付き合って来た。
と回ってると、大学のキャンパス内で、カバンに付いてる缶バッチに目が行った。
バスケ部の方に入部しているようだった。
私も中学生はバスケ部で、高校はバイトだったが、身長も普通だし、よほどバスケをやりたいんだなぁって感心した。
そういえば、オープンキャンパスで見た男女の何人かのグループの一人だ。あの缶バッチは覚えてる。
あの時はメガネかけてなかったが、缶バッチを見て、ピンと来た。
「ちょっと行ってくる。多美ちゃん他を見てて!」
と言って、バスケ部の方に行った。
メガネをかけた男子が紙を書いていた。おそらく入部するのだろう。他にも何人かバスケ部の方に向かっていた。
「バスケ部ってここだけですか?女バスもあります?」
と聞いたが、女子バスケはないらしい。サークルならあると言われた。よかったら、マネージャーにならない?って言われたが、慎重に考える事にした。
メガネをかけた男子が一人、教室に向かっていた。私も教室が同じ方向なので、 声をかけた。
「ねぇ、英語でしょ?よかったら、一緒に行かない?」
彼は私を見て、無視をした。どうやら、初対面でいきなり声かけはダメかなぁ?って思った。
そこへ多美ちゃんが来たので、多美ちゃんと一緒に教室に向かった。
初めての授業、初めての教室、快適な空間だ!と思いながら、初めての授業を受けた。
気になってたメガネを付けた男子は前の方で授業を受けていた。
休み時間になり、見ていると他の女子と話をしているのを見かけ、私はガ~ンッとショックを受けた。
やはり、アプローチがいけなかったのかな?と悩んだが、どうしてもお近づきになりたくて、多美ちゃんを置いて、話かけに行った。
「初めての大学の授業緊張した。」とその男子含めて、他の女子にも言った。そうしたら、「私も〜」といろいろな男女で会話が始まった。
そして、「私は、関本 樹!あなたは?」と聞いて、小さな声で「俺は八積 広(やつみ ひろ)」と答えてくれた。
八積君かー!と思いながら、一旦、距離を取り、他の女子にも自己紹介をした。そして、多美ちゃんもやってきた。
その後は、みんなで会話して、みんなでお昼ごはんを食べようと言う事になった。
お昼ごはんになって、みんなで食べに行く事になり、私はみんなと連絡先を交換して、それとなく八積君の連絡先も交換して、ヨッシャーってなっていた。
帰りになり、仲良くなった女子で話ながら、「多美ちゃんは何処か入るところ決めた?」と言う話になり、多美ちゃんは「お菓子研究会」って言われ、他の女子の結城さんや青山さんは陸上や野球の部活のマネージャーをすると聞いた。
私はピーンときて、男子バスケのマネージャーになろうと思って、
「私、男バスのマネージャーになる!」と言って、Uターンして、回りの女子達に「先に帰ってて」と言って、男バスの活動している体育館に行った。
そこには、本気の八積君がいた。メガネを外し、紅白戦だけど、必死にプレーをする授業や普段にはない必死な姿を見た。
特に身体能力が高い訳ではないけど、視野の広いパス回し、そして、綺麗な放物線を描いた、3ポイントシュートを決めた!そこで紅白戦が終わった!八積君は「どうだ」と言わんばかりにガッツポーズを決めた。
私は八積君が3ポイントシュートを決めた時に、自分が中学生の女子バスケの時に男バスの試合を見た時に最後の3ポイントシュートを外して泣いてる男子を思い出した。
「あの時の人?」とフラッシュバックが蘇った。そして、決めた八積君の姿を見て、なぜだかその時の光景が目に離れなかった。
そして、その時を取り戻すかのようなスリーポイントだったので、私はあまりにも、感動して、先輩マネージャーらしき人に
「マネージャーって募集してますか?」
と聞いて、全然ウェルカムだよーとマネージャーになることになった。
帰りに一人で帰ってたところ、同じ電車に八積君がメガネをかけて座って寝ているのを見て、普段との顔と試合のあまりにも凄いギャップを見て、
「こんな顔で、試合中とのギャップはズルいよ」
と独り言を言って、降りるのももったいないと思った電車を降りた。
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