鬼遊伝

那由田 なむ

プロローグ

体が熱い.とにかく不快感を覚える.窮屈だ.今すぐにでも抜け出したい.


-お前は何を望む.-


不快感の中何者かが頭に問いかける.


それどころではないのだ.息が苦しい.今すぐこの苦しみから解放されたい.


どうあがこうにも何もできないことがさらに不快感を増幅させていた.


-お前は何になるべきか.-


爆発だ.今すぐこの体にまとわりつくものを取り除きたい.

体をうねらせてもどうにもならない.もはや身体の及ぶ力では到底身動きがかなわぬ.


-お前はそこに何を得る.-


自由.抑圧からの解放.気に入らぬもの全てをどうにもできる力だ.


-それが,お前の答えか.-


突如,体が上に引っ張られる.いや,押し出されているのだろうか.

あんなにも身動きが取れなかったはずが,嘘のように体が進み続ける.


そして-


ズルッ…


何かが洞窟に産まれ落ちた.


これが,この洞窟に産まれ落ちた者の物語の始まりである.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鬼遊伝 那由田 なむ @teikiatu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る