青春女子~自サツが趣味な女子高生
ぶう
自殺することが趣味なんだよねー。っていうイカレた同級生の話の回
自殺することが趣味なんだよねー。
私の高校にいるヘンな同級生の話をしようと思う。
影が世夜アキネという名前の同級生の話だ。
そいつは女子高生というよりかは、女子校生という印象を私はうけた。
高校生というより、中学生でも小学生でも予備校生でも転校生でもない。なんだか分類不能の人種だ。
奇想天外な発想をする。意味が重複してるようにみえるがまあいい。
うち、今度校舎の屋上からダイブしてやる!
笑顔で言う。
屋上からダイブって、そのまま落下して死ぬよ。
わたしは淡々と答えた。
それを真顔で答える雨雨うけるぅ!あっ屋上ダイブが終わったらやろっ!
ダイブしたら死ぬわよ。うちの校舎4階建てでしょ?屋上を含めると5階。
そんな高さから落ちたら、運が良くて全身複雑骨折か重症もしくは死ぬわよ
本を読みながら私は警告するがアキネは聞かない。
うち~最近、自殺することにはまってるんだよねー
それ、この前もきいた。自殺する趣味。屋上ダイブもそれの一環かしら?
いや違うって!
また笑顔をみせてきてやかましく言う。
自殺していくのが趣味だけどなかなかうまくいかなくてさ
太宰治みたいなことするのね。
だざい?誰それ?
昭和の文豪。最終的に女性と確か、入水自殺したって。
にゅすいじさつ?なにそれ?
どうやら意味が通じてない。アキネは興味のないことは頭に記憶できない。
そのだざいなにがしとか、ございとかといっしょにせんでくれん?うちはじさつをひっきりなしにしてんだから?
どんなこと?
たとえば~昨日漫画をかこうとして下描きまでつくったけどなにかと作業が単調でつまんねえ~からやめたり、この前はAI使って漫画なりえろいイラストなりつくってみたけど、結果が表示されて終わりだし、これ何が楽しんだよっておもってキレてやめた。この前、トライアスロンに出場したけど、100メートルまで走り抜けて終わった。
それ、どこが自殺なの?
ある意味じさつじゃん!一応、うち一日一日興味をもったこと1つやったりしてんだけど、やってやめるってプロセス続けてる~これってある意味じさつじゃね?一度はじめておわるってひとつのカテゴリーをやってはやめてやってはやめるってやつ。
わたしは自分の髪から水の塊を抽出して丸くしてそれをいくつもつくってくっつける作業をして聞いていた。本は途中で読むのをやめた。アキネの話が無駄に長いのと、単純に集中力が続かなかった。
それで、ふと、思った。これも、アキネが言うじさつというやつなのだと。
ねえ、うまくない?うち思うんだよね~自殺とかいう人いるけど、人やなくてうちみたいに自分のやっている趣味とかその前の段階のどーでもいいけどたとえるならゲームとか、やったことないやったことあるやっているゲームをやめる。水泳、剣道とか暴飲暴食とか、夜更かしとか、仕事とか、色々あるじゃん世の中人間がやるもん。それをやってはやめてを繰り返すっていうじさつにおきかえればよくねって?コスパいいだろ~こういうじさつもあっていいなって。てか、これが真の自殺だとうち思うんだよね~これが本当の意味なんじゃないかって!
なにをいってるのかわからなかったけど一理あるなと思った。
おそらくだけど、アキネは自殺の意味をわかっていない。
だけど、どこからか聞いた言葉をおもしろおかしく知らずに自分なりに考えておきかえて使っているのだろう。
いいわね。それ。面白い。
無感情におそらく無表情で答えた。
だろ!だからさ。そういうしみったれたこと考えるより、自分のいまとりくんでることとかあたらしくやってることとか流行でやってることとか、人から言われてやってることとかやめてまた新しいことやってやめるっていうじさつをすればいいんだとおもうんだよね!これがうちが思うじさつ!
本当の意味がそうじゃなくても?
本当の意味とかなくね?しらんよ~うちおもろいとおもったからこうおもったこれがじさつの意味!ということでうち影が世夜アキネが命名する以上
勝手に納得して勝手に決める。
そのアグレッシブな感じは彼女の魅力。
同じ女子高生として雨雨もうちのじさつをする趣味につきあってくれん?
いいわよ。
わたしは何も考えず返事をした。
そうかあならうち今から屋上ダイブ!してくる!
いえ、その前にこれ
空中に浮かんだアキネが話してる間につくった水たまは人が入れる大きさになってる。
この中に入るってのは?
とおー!
と威勢のいい声をあげてみずたまのなかにダイブをする。が、アキネの重さに耐えられなかったのか、水たまが小さすぎたのかそのまま割れた。中にいたアキネは床に尻餅をついた。
いってええ!!
どお?一瞬だけど命の危機とダイブ両方味わえたでしょ?
ほえー
これが、屋上ダイブならぬ水たまダイブ。
ぽかんと口をあけて私をみるアキネ。
はっ!!ヤベッ!次の授業が5分ではじまる!
すると、その場をたちあがると足ふみを始める。
雨雨、やっぱものほんダイブやってくる!人生は一度きり!ダイブ!
そういうと、もうダッシュをし屋上までかける。私も同じくダッシュをする。
それをみた先生や生徒はなにごとかとこちらをみる。
「廊下走ったらダメでしょ!二人とも」
そんな声を無視して私たちはかける。
アキネは屋上につく。わたしは外に出ると、アキネのいる屋上の真下、玄関の入り口に立つ。
アキネは助走をつけて屋上から飛んだ。
私はその場で特大サイズの水たまを作ると、飛んだアキネをキャッチして包み込んだ。アキネはごぼごぼと何か言おうとしている。
水たまを地上まで急いで移動させる。
地面についたとたん、
パンッ!
と巨大な水たまが弾けた。
アキネは地面に尻から着地する。その場にアキネは寝転がった。
水玉の水しぶきが私とアキネにつく。
教室の窓からこちらをのぞかせる先生や生徒たちがいる。
わたしはアキネを見下ろしながら言った。
・・・アキネそもそも、私たち人間じゃないのだけどね
わたしは静かにぼそりとつぶやく。
水の髪は風になびく。
白パンツ!
わたしのスカートの中を見て言った。
そして、次にアキネは寝っ転がって空をみた。
あっ!アタイ、今度空をとんでみよ!
満面の笑みで言った。
ある意味でとんでるわね。でも、いずれとべるわよ
青い空を見る。
水玉の水しぶきで虹がかかっている。
遠くから誰かの声が聞こえるが私たちは空を眺める。
まぶしいわね。今日も一日、いい日になるわ。
青春女子~自サツが趣味な女子高生 ぶう @buu2018
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