バベルの自由帳
koumoto
白い砂漠
ページの上を、歩いていた。わたしは文字だ。白い砂漠を旅している。空にのぼるのは太陽と月、ときどき眼。巨大な眼。わたしを読もうとしている眼。神のごとき読書家の、まさぐるような眼。
わたしがどういう言葉なのか、わたしにはわからない。空の眼を介して、わたしは天に意味づけられる。わたしを書いたのはだれだろう。どんな頭の持ち主だろう。どんなこころで、どんな手で。
地平線まで広がる白。余白にしても広すぎる。わたしが歩くこの白い砂漠は、もしや詩集のページだろうか。わたしは別の文字と会いたかった。わたしの孤独と似たところのある言葉に。
いま、わたしを読んでいるあなたの眼が、透きとおるような夜空に浮かんでいる。月のように冷たいあなたの眼。あなたにはわたしが見えるのですか? わたしはどのような姿をしていますか? わたしはどのような文字ですか? わたしはどのような言葉ですか? わたしがいるこのどこまでも広がる白いページは、どのような本のどのようなページなのですか? あなたもまた、何色ともしれない不確かな砂漠を歩いているのですか? あなたもまた、
あなたが見上げる夜空に、眼のような月が浮かぶ。あなたの夢が映りこむ、鏡のように澄んだ月。
あなたのページに、わたしはたどり着くことが出来るのだろうか?
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