是なる〓〓軀串蔓女〓〓饌と〓〓ぐ

@hagayui

第1話

 雨が降りそうだ。

上靴を脱ぎながら千佳はそう思った。玄関の向こうには暗雲が垂れ込めている。昇降口には冷たい風が吹き込んでいて、11月の夕暮れともなればスカートを履いた女の子にはだいぶ寒いだろう。

「傘、もってきといて良かった」

独りごちる。その声を聞くものはまわりに誰もいない。千佳はじゃらじゃらとキーホルダーの揺れるスクールバッグのうえから折りたたみ傘の感触を確かめ、自宅へと歩き出していた。すると、五時を知らせる鐘が鳴った。経年劣化したスピーカーは音割れしていて、あまり耳触りの良くない調べを垂れ流した。

 どんなにゆっくり歩いたって、せいぜい、十分ほどの道のりである。畑の横を通り、狭い竹林を貫く道を向こうに歩いていけばすぐ彼女の暮らす住宅街にたどり着くはずだ。彼女は毎日この道を通って帰る。この日もそうなるはずだった。

 千佳はその日家に帰らなかった。翌日も学校に来なかった。いや、この言い方は正しくない。その日の夕方以降、彼女は見つかっていない。

 

 

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