この作者の作品を読んでまず印象的なのは、描写の巧みさ。情景は新海誠作品の背景のように美しく佇み、女の子たちはわちゃわちゃと可愛らしく動きまわり、アニメのような映像が脳内に再生されます。
その映像を追ううちに自然と見えてくるのは、街と人。田舎過ぎない田舎の街は歴史まで作り込まれているようで、読者がその場所にいるかのような存在感を放ちます。それぞれの女の子たちにもしっかりとしたバックグラウンドがあり、アニメ的な誇張を感じさせつつも、いま目の前にいるような気がしてきてしまいます。
ホラーとしてはまだそこまで怖くはありませんが、前作後半のハードな展開を思い出すに、今回もどうなるのか目が離せません。前作はハードでも後味は悪くない、人間への温かな眼差しを感じさせる終わり方でしたので、ホラーでも安心して読めます。
もちろん前作を読んでいなくても楽しめるようにキャラの説明もしっかり、でもさり気なく織り込まれているので、ここから「りんこわ」の世界を訪れるのもオススメです!