第二章・第六節 スポンサー初仕事、即大事故

 スポンサー契約が決まり、じいじは意気揚々。

 配信画面の前に、スポンサーから送られたエナジードリンクを並べた。


「よーし、美羽!スポンサー様に恥をかかせるわけにはいかん!今日はビシッと決めるぞ!」


 美羽はぱちぱちと拍手。翔とタクトも横で見守る。

「じいじ、かっこいい!」


  試合が始まった。

 重蔵はスポンサー缶を掲げ、力強く宣言する。

「この一杯が、ワシを動かすんじゃ!」


――ゴクッ。


 直後。


「ぶふぉッ!?」

 炭酸にむせて、盛大にキーボードへ噴射。

「じいじ!?」

 美羽が慌ててタオルを差し出す。


 キーボードは火花を散らし、操作不能。

 画面のじいじ(JZ-65)はそのまま敵陣へ無防備に突っ込んでいく。


 ドッカーン!


「また自爆www」

「スポンサー初仕事で事故w」

「むせ芸きた!」


 コメント欄は爆笑の嵐。

 タクトは頭を抱えた。

「……いや逆に、宣伝効果は最高です。エナジードリンクの名前、全員覚えましたから」


 翔も吹き出す。

「スポンサー、大喜びだよこれ!」


 美羽はケラケラ笑いながら叫んだ。

「じいじ、最高だよ!」


 重蔵は炭酸まみれで咳き込みながら、

「……お、おぉぉ……ワシ、やらかしたかのう……」

 と呟いた。


 だが、配信画面の視聴者数は――過去最高を更新していた。

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