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今日の日中はほとんど眠っていた。極度の疲労とフォースを酷使した反動だろう。アラームで目を覚まし、すぐにハイパースペースを離脱した。目の前には、コルサント圏を示す大量のジャンクデータと軍事通信の嵐が広がっていた。


この船で共和国のパトロールをすり抜けるのは不可能に近い。私はシャトルのステルス・システムとスクランブラーを限界まで調整した。私はジェダイとしてではなく影の存在として故郷に戻る。


コルサントに近づくにつれて、傍受できる情報が増えた。戦争の終結は本当に間近のようだ。最も気がかりなのは、ジェダイ・マスターたちのほとんどがコルサントを離れているという事実だ。オビ=ワンは遠いアウター・リムで分離主義者の残党を追っている。ヨーダもどこかへ向かったらしい。メイス・ウィンドゥだけがコルサントに戻っているようだが、彼の部隊も戦闘の準備で忙しい。


ジェダイ評議会が弱体化している。これは、私にとっては都合が良い。私がパドメを救うための行動を起こすとき、彼らの干渉を受けずに済む。その一方で、これはパルパティーン最高議長が最も危険に晒されているということだ。ドゥークー伯爵の残党が議長を狙う可能性は高い。議長は私を信じてくれた唯一の人物だ。私はパドメを守ると同時に、議長の安全も確保しなければならない。


コルサントが視界に入り始めた。巨大なビル群の光が、まるで宇宙に浮かぶ都市の炎のように見える。その瞬間フォースの中で巨大な圧迫感を感じた。コルサント全体を覆う、暗く、重いエネルギーだ。それは、私が辺境の惑星で感じたシスの力とは少し違っていた。もっと巧妙で根深い。


私はすぐに理解した。この暗黒面の力は、ジェダイ聖堂のすぐそば、元老院から発せられている。ずっと前から、私たちのすぐ隣にあったのだ。ジェダイ評議会は、盲目だった。彼らは、目の前の政治的な争いに気を取られ、真の敵を見逃していたのだ。


この闇の源を知ったことで、私の恐れは決意に変わった。私はこの闇に立ち向かわなければならない。そして、その闇の力でパドメを救う唯一の存在も私なのだ。



23時ごろ、シャトルをコルサントの巨大な宇宙港の一つに、極秘裏に着陸させる準備を始めた。私は、自分のライトセーバーと、持参したエネルギー増幅装置、そしてシスの知識のデータパッドを一つにまとめた。


パドメに連絡はしない。私の帰還が、誰にも知られてはならないからだ。


私は明日、アナキン・スカイウォーカーとしてコルサントの地を踏む。だが、その心はもうジェダイのものではない。私は、すべてを裏切っている。そして、この裏切りこそが、私の愛を守るための唯一の道だ。


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