第13話 フロアボス退治で、レアスキル獲得!
♢
そこからの俺は、現れるさまざまな魔物を、どんどんと狩っていった。
たとえば月の光を受けてその力を増す熊型の魔物ツキノグマ、ハイエナをモチーフにした魔物・ハイロエナなど。
中にはそれなりに強い個体もいたが、だからこそ練習になるというものだ。
月明かりで視界が限られたなかでも、俺は順調に討伐していく。
「これで九十だな」
そして、その数をきっちりと数えていた。
目的は一つ、フロアボスであるエレキクスという龍の討伐である。
ゲームの場合、ここで百体の魔物を狩ることで、はじめてその姿を現すという、裏ボスな存在だ。
そして、そのスキルはといえば、『姿隠し』。
数秒間とはいえ、相手の視界から消えた上で攻撃をしてくる、厄介極まりないスキルだ。
ゲームでは奪えるわけでもなく、まして本編にも関係ない、いわばやり込み要素の一つだ。
そのため、そもそも知らないプレーヤーが多いし、知っていてもやらない人もたくさんいる。
俺も最近はやっていなかったが、奪えるのなら話は別だ。
これを、どうしても奪っておきたかった。
俺はその後も現れる魔物を切り倒して、どうにか百体の討伐を終える。
が、特に音沙汰はない。
ゲームの場合、すぐにエレキクスが出てきて連戦になった。
が、狩った魔物の数を俺以外の誰かがカウントしているわけでもないし、出現しなくてもおかしくない。
そう思っていたら、後ろに一瞬だけぞわりと、寒気が走った。
俺が慌てて振り返れば、そこには一瞬だけ、でも確かにその雄大な姿が映った。
雷のような紋様の走った大きな翼に、雷撃を放出してくる一本角。
間違いない。
どうやら本当にエレキックスが現れたらしい。
俺は見えないところから飛んでくる雷撃を、ギリギリで跳び避ける。
それを繰り返してしばらく、ようやくエレキックスが姿を見せたらチャンスだ。
俺は魔力圧縮で速度を上げ切り掛かりにいこうとするが、その羽の起こす雷を纏った風に、それを阻まれてしまった。
「そういえばゲームでもあったなぁ、この仕様……」
俺は一度後ろへ後退する。
たしかこの風は、浴び続けると、動きが緩慢になるのだ。
実際、身体には少し痺れが走っている。
じゃあどうするか。
俺は頭を巡らせていて、一つ思い出した。
それで今度は遠距離から火属性魔法の炎を纏った刃をとばす。
効いている様子はなかった。
――が、しかし。
その羽の一部に火がついて、エレキックスが『姿隠し』をしている間でも、場所が分かるようになっていた。
これは、本質的な攻略に関係はないが、ゲームにも存在した要素だった。
狙いがつけられれば、あとは難しくない。
俺は剣先をエレキックスに向けると、その鋒から魔導弾を放つ。
しっかりと『エイム補助Level3』のスキルも使って、狙いは定まっていた。
弾は頭に打ち当たって、そこで魔力の螺旋が解ける。
エレキックスはといえば、それに咆哮をあげ後ろにのけぞるが、まだこれで終わりじゃない。
その巨体の背中部分から、火柱が上がる。
「グラァァ……!」
そう、今は後輩となったあの輩から奪い取った『遅延魔法』のスキルを利用した二段階攻撃を仕掛けていたのだ。
これにエレキックスは唸り声をあげながら、その大きな体を横たえるようにして、地面に落ちてきた。
このまま落ちてきてしまえば、魔素となって消えてしまう。
俺はその直前で跳び上がり、『能喰い』を発動する。
そして無事に、そのスキル『姿隠し』を会得することに成功していた。
「とりあえず、こんなもんかな」
俺は落ちてきたエレキックスの核である雷石を拾って、ほっと一つ息をつく。
それから改めてステータスを見てみれば……
『レベル:20/100
属性魔法:火属性魔法
特殊能力:【能喰(のうぐい)】 Level1
スキルリスト
・魔力圧縮 Level6/10
・エイム補助 Level4/10
・魔力自然回復 Level4/10
・遅延魔法 Level2/10
・毒の牙 Level1/10
・怪力 Level1/10
・捕食 Level1/10
・姿隠し Level1/10……』
うん、なかなか、いい感じにレベルアップできている。
努力は必要だが、ゲーム的に自分のレベルアップを確認できるのは結構ありがたい。
とりあえずはもう十分だ。
あとはもう帰って寝よう。
明日も朝から推し活(仕事)が控えているのだ。
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