第12話 ゲーム知識で、らくらく魔物狩り!
♢
勤務終わりの夜九時ごろ。
俺は王都を抜け出して、その門の外へと足を運んでいた。
人目を盗みながら、大きな通りを外れて、険しい山道へと入っていく。
蜘蛛の巣がうじゃうじゃ張っていて、非常に不快だった。気分が悪くもなっていたが、それでも歩を進める。
当然、夜逃げをするわけじゃない。
俺が目指すのは、町外れにある魔物の出現する『危険地帯』だ。
すべては、推しを、ノルネを確実に守るため。
そのために俺は、強さを手に入れたかった。
たとえば今度開かれる夜会で大掛かりなクーデターが起きたとしても、彼女を確実に守りきれるくらいの強さを、俺は欲していた。
そのために、魔物狩りがしたかったのだ。
一時間ほど歩き、俺はついに魔物も出る危険地帯へと踏み入れる。
「ほんと、ゲームのまんまだな」
ここは、『暗がりの森』。
ストーリーの序盤から中盤でノルネがここに捨てられて、その際に身体の奥に眠る古代竜の力に目覚めるという展開があったが……それよりも。
ゲーマーたちの間でよく知られている名前は、『経験値の森』という別名だ。
冒険の出発地である王都の近くにありながら、ステージとして開放されるのは中盤以降であり、ここではメインストーリーは進まない。
代わりにレベリングに適しており、行き詰まったら、ここへやってきてある程度レベル上げしてから再度ストーリー攻略に乗り出すのがプレイヤーの鉄板だったのだ。
ここならば、いくらでも魔法も剣も練習ができる。
そしてその目論見は、しっかりと当たってくれた。
本当に次から次へと、魔物が現れる。
すぐに出てきたのは、大蛇・サーパントの群れだ。
さっそくそのうちの数匹が地面を素早く這って、噛みつきにくるから俺は『魔力圧縮』で高く飛び跳ねて避ける。
それにつられて、大蛇の身体が半分ほど浮き上がったところで、俺は剣を抜いた。
その首を力を込めて刎ね飛ばす。
すると、ゲーム同様に、魔物たちの身体は粒状の黒い粉となって消える。
残されたのは、いわゆるドロップアイテムである尾だけだ。
たしか魔物の場合、身体のほとんどが魔素で構成されており、一部核となる部位の周囲だけが、こうして残るという設定だったから、ゲームのままだ。
そして、攻略法に関しても同じだった。
「サーパントは高いところにおびき寄せて、その弱点である首元を攻撃すると、倒しやすい……。最短で倒すなら、基本の攻略法だよな」
ゲーム知識は通用してくれるようだ。
俺は他の連中の攻撃もぎりぎりでかわして、その首元を打ち付けるのを繰り返す。
基本的には一撃で仕留めるが、最後の一匹はわざわざ半殺しの状態で生かしておいた。
そのわけはといえば、確かめてみたいことがあったからだ。
それがなにかといえば、
「能喰い」
この謎多きチートスキルが魔物に対しても使えるかどうかである。
ゲームでは魔物にもそれぞれスキルがあり、独自の攻撃を繰り出してきていた。
もしそれを奪えるのなら、相手にする魔物次第では、かなりいいスキルを手にできる。
俺がサーペントに手を当ててスキルを使えば、前回同様、一瞬だけ黒黒しい光が発される。
その後、しっかりトドメをさしてからスキルリストを見てみれば、
『・毒の牙 Level1……噛み付くことで、相手に毒状態にできる。自身は耐性あり』
しっかりスキルが追加されていた。
まぁ実用的かといえば、噛みつきが前提となる以上、あんまり使う機会はなさそうだが、それでも。
魔物からもスキルが奪えると分かったのは実に大きい。
「さて、どんどん狩るか」
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