迷宮に囚われた男
火川蓮
Prolog1 異世界への転移
それは、突然の出来事だった。
会社の朝礼中、足元に魔方陣が現れる。眩い光がぼくたちを包み込んだ。
光が収まると、目の前には大理石の床。
そして、きらびやかな服を着た人々に囲まれていた。
理解できない現象に、ぼくは困惑した。
だが、どこかで聞いたことがある。
――“異世界転移”。
近所にいた男の子がよく話していたのだ。
『世界はたくさんある。異世界に転移
とか転生とかできたら面白いよね』
その子が持っていた小説を読ませてもらったこともあった。
奇想天外だったが、確かに面白かった。
なるほど、これがその“具現化”だろう。
まさか現実に起きるとは、思いもしなかった。
同僚たちが戸惑う中、ぼくは冷静に周囲を観察し続けた。
目の前に広がる光景、周りの人々の表情や服装――すべてが、異世界に召喚された現実を示していた。
迷宮に囚われた男 火川蓮 @Fiamma
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