視線

 ふと目が合う。

 ついと逸らす。

 なぜこちらを見ているのだろう。

 いつも気づかなかっただけで、見られていたのだろうか。

 まだ視線を感じる。穴があきそう。

 どうしよう。読書に集中できない。どうしたらいい。

 何か言ってくれればいいのに。それともこちらから訊けばいいの  

 か。いやだなあ。でも背に腹は代えられない。


 「なに」

 「なにも」


 訊いたのに。勇気を出して訊いたのに、それはどうなの。

 視線が外れた気がする。ほっと息をつく。

 なんだったんだ。

 今日は読書に集中できない。いつもと違うことをしないでほし 

 い。コミュニケーション取るのは苦手なのだから。そっとしてお

 いて。



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