第12話 そして、奪われたチキン入りパン

すると……

向かう側から馬に乗った


「ああ、ヌルバヌか」「バヤジト皇子様、ご機嫌よう」


バヤジト皇子…

セリム皇子の弟で、勝ち気な皇子


馬からバヤジト皇子は降りてスタスタと

彼はヌルバヌの間近にやって来て、ヌルバヌの持つ籠を覗き込む


「これは…イタリアの料理か?」

「はい、イタリア料理という訳ではないのですが、私の手作りです…


チキンとチーズ、野菜を二つ割りパンに挟んだもの」


この場合、欧州では生ハムなども使うが、豚肉になるものは

使えず、ハラールの鶏肉を使う


「俺が一つ貰ってやる

高貴な俺が…光栄に有り難く思え」


「えっ?」


ひょいと止める間もなく、籠の中のチキン入りのパンを

素早く一つ手で掴み、すぐにその場で

かじり、食べてしまった。


「これは上手い!」

更には二つ目のパンを手にして、あっと言う間にこちらも食べてしまったのだ。


「ふむ、キョフテ に

これも、この高貴な皇子であるバヤジトが食べてやる!菓子もあるじゃないか!」


ドンドンと勢い良く食べてしまう!


 「あ、あ、あ…」

ヌルバヌが突然の出来事に目を見開き、固まってしまった!


「おや、バヤジトにヌルバヌじゃないか?」

「バヤジト?」

二人の若い青年が声をかける。


二人は馬から降りて、ヌルバヌとバヤジト皇子のところまで来た。


異母兄ムスタファ皇子と

同じ母の兄メフメト皇子


「これから、弟のジハンギル皇子の見舞いに行くところだったが、どうした?」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る