第9話 初めての依頼は――復興作業?(前編)

【アストレイア・サーガ】には生活魔法というカテゴリーで、初期のジョブであるノービスのジョブレベルと共にマスターできる魔法がある。


「ゲームではフレーバーな存在だったけど、すごく役に立つな」


汚れと認識したものを浄化する【クリーン】で綺麗になったオレとユエとベッドを見つつ、窓から差し込む朝日を眺めながらそう零す。


「ん、2人のジョブ枠増設して、ノービスをねじ込んでおこう。色々習得できるし、きっと喜ぶ」


「なんかすごいこと言ってる……」


ユエがしれっと起きててなんかとんでもないことを告げてきたので感想を返しておく。


ジョブシステムはメインとサブの2つが基本で、3枠目とかは基本ありえないからだ。


「私とカイトの枠は後に何とかするとして……取り敢えずご飯にしよう」


「……そうだな」


色々突っ込みたい欲を投げ捨て、ついでに日本人的な欲求が米と味噌を欲してるがそれもねじ伏せつつ、食堂へ向かう。


――*――*――*――


「今日も食べられることに感謝を込めて――いただきます!」


「「「いただきます」」」


4人揃ったので朝食を注文して用意されたので食べ始めた頃、ミレイユが口を開く。


「にしても厄災の海蛇、カランの街に現れたはずなんですけど、どっか行ったんですかねぇ」 


ミレイユの言葉にエレスティアが何か聞きたそうな顔でこちらを見る。


「何かの気まぐれが、異変でも起きて逃げたとかじゃない?」


オレのすっとぼけにジト目になるエレスティア。


すまんな、オレとユエのバグっぷりが神々に匹敵するのを開示するにはまだ信用度が足りないのだ。


「……まあ、昔の文献にも姿を見せたが滅ぼされなかったことがあるとか記録にありましたし……今回は運が良かったって感じですかね」


「逆に厄災の海蛇の所在が不明になりましたから……港や海に繋がる場所などは戦々恐々することになりそうですけどね」


ミレイユのフラットな言葉に対してエレスティアの言葉に棘がある……気のせいじゃないはず……。


「まあ、お金多少持ってて後払いしたミレイユはともかく、カイトから宿代に食事代出してもらってるエレスティアは、依頼で稼いだ分から支払ってね」


「うぐっ」


ユエのジト目から放たれた言葉にエレスティアが撃沈する。


ぶっちゃけお金をそれなりに使っているが、オレの所持金が、最小単位の1しか減っていない。

おそらく金貨1枚で所持金の最小単位の1疑惑があるが……それ考えると下手な国家予算よりお金持ってるから、この程度誤差なんだよな……。


「冒険者ギルドのカラン支部に行って仕事を探すのが良いかもですね……」


「……旨味のない塩漬け依頼が常設依頼しか無さそうだけどね」


ミレイユの言葉にユエが付け加えてエレスティアが顔を青くして借金積み上がっていくのを指折り数え始めた。


「エレスティア」


「は、はい!」


「借金数えるのは勝手だが、飯食ってからにしてくれ」


「うう、すみません……」


飯のときは飯を食う。


雑念入れたくないのがオレのスタンスなんでな……。


「順調にエレスティアがカイトにズブズブになってる。ヨシ」


ユエ……お金で縛っても恋愛感情は生まれないと思うぞ。




――*――*――*――


なんか海蛇いなくなったのを確認した中央街(長ったらしい正式名称あるらしいが、代官ですら呼んでないのでこの名称が通称になってる。)から人が出てきて、中央街の外側の家とかで震えてた人も赤信号みんなで理論の感覚で街にでるようになったため、活気が戻ってきていた。


コレなら荷物のやり取りとかで依頼あるだろうと思って、冒険者ギルドに足を運んだのだが――


「えっ、依頼がない?」


「はい。もう死ぬと思ってヤケ酒したり、借金しまくった人とかが血相変えて殺到しまして。……カランの街に家を持っていた冒険者とか、普段なら最低限働いて残りは遊ぶような人たちも殺到し、常設依頼や塩漬け依頼も根こそぎ無くなった感じですね」


「」


エレスティアが白目剥いてる。


「あ、でも」


「何か依頼が!?」


受付嬢さんの言葉に息を吹き返すエレスティア。


「――Aランクパーティーの依頼ならあるんですけどね……貴族の護衛で内陸の街へ向かう依頼が……」


「……ダメだったか」


崩れ落ちるエレスティア。


「私一応Aランクですけど、パーティーとある場合は半数が個人でAランクでないといけないという規定がありますからね」


ミレイユの言葉に受付嬢が頷く。


「護衛依頼は実のところ、Bランクパーティーでも受けられる依頼なんですが……先方が体面を気にしておられるのか、Aランクパーティーを要求してるので……」


「なら仕方ない。オレとユエは資金に余裕あるから、別の所で仕事探すか……」


と言っていたら掲示板みたいなところの上にある鈴がなり、少ししたら掲示板がひっくり返った。


「依頼更新されましたので、そちらを確認するのも――」


「ん、【荒れた港の整備】を受ける。ランク制約無し、成果で報酬もらえるやつ」


ユエが瞬間的に掲示板に言って主婦のセールタイムの争奪戦さながらの現場をくぐり抜けて持ってきた依頼書を受付嬢に渡した。


「かまいませんが……重労働ですよ?」


「魔法禁止とかないなら、やりようは幾らでもある」


「……なるほど? では4人の登録を行いますね」


カードを渡して処理を受けた後、半分に切れる依頼の用紙を渡されたので東側の港に向かうことに。

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