第7話 それぞれの自己紹介とパーティー結成?

何故か椅子に座らせ、先程のPCやNPCを捕まえて引っ張っぱれる戦闘に使えないネタスキル【ドナドナロープ】で元フルアーマーの娘を簀巻きにするユエ。


「……仲間になるの、早まったかなぁ……」


ベッドの縁に座り、遠い目をするミレイユさんを横に、ユエが懐からフライパンとおたまを取り出し、トトトカカカカン、と驚きの早さで連打する。


すると


「なっ!? 敵襲かっ!? 何故私は縛られ……っ!?」


と元フルアーマーの女が目を覚ました。


混乱してるのでオレが声をかけることに。


「えー、オレはカイト、さっきカランの街で冒険者になった田舎育ちの男だ。思わず反撃して済まなかった」


「え?あ……私こそ、試すような真似を……私はエレスティア。龍種の母と鬼人族の父から生まれた混血児だ……」


「……フルアーマー……エレスティア……あっ! Bランク冒険者で、何時もフルアーマーで誰も顔を見たことないっていう、【不倒のエレスティア】!? そういう変わった人いるって聞いたことはあるけど、本当にいたのね」


ミレイユがハッとして問いかけると、エレスティアが恥ずかしそうに悶える。


「フルアーマーじゃないと、落ち着かないのと、私自身防御力無くて脆いから……!」


「……」


背後で思いっきりおたまとフライパンで音を鳴らしたせいでオレたちばびっくりしてそちらを向く。


ユエがエレスティアを睨んでる。


「あなたのせいで悪目立ちした。カイトとの世界巡りながら色々みる計画に支障きたしそう。責任取って仲間になってね」


「「「いやその理論はおかしい」」」


オレも思わずツッコミを入れる。


「……鎧と剣は木っ端微塵だし、この街?に来る途中で財布落としてるのか財布らしいもの持ってないみたいだけど……ソレで今まで通りやれる?」


「……!?」


何やらもぞもぞしたあと、顔を青ざめさせるエレスティア。


破壊した鎧には財布らしいものなかったし、破壊したあとの布の服の腰回りとかにそれっぽいのなかったから、たぶんここに来る前に……。


「私ならその脆い防御力とかも解決できる。どう?悪い話じゃないけど」


「……本当に、解決できるのですか?」


「うん。できないことは言わない。ユエの名において誓う」


「……お願いします。仲間に……入れてください」


蟻地獄にハマっていくのってこういうことなんやろな、って感想が出るような流れでしたね(他人事)。


「ん、よろしい。3人目の嫁候補ゲット」


「えっ?それは聞いてない」


顔を上げるエレスティア。


ソレに対してユエがふんすふんすしながら解説し始める。


「私はカイトの正妻。カイトのパーティーメンバーは実質カイトの嫁。つまりエレスティアは自発的にハーレム入りにサインした。オーケー?」


「えっ、私もそういうことです!?」


ミレイユが反応すると


「うん、そのつもり。ああ、カイトも実質被害者だから、3人仲良くするといいかも?」


と返すユエ。


「カイトさんのハーレムなのに!?」


「カイト殿も被害者!?」


「「わけがわからない!」」


「すまない、うちの嫁がすまない……」


2人に頭下げるオレ。


暴走するユエを止められなかったのは事実なので……。


「取り敢えず自己紹介の続きしようか」


「この空気からよく話題強引に切り替えられますね!?」


ミレイユさんがツッコミ役になりつつ有るけど、そこ指摘するとツッコミ役オレに回ってきそうだからスルーしよっと。


「必要ならやる。私はその覚悟があるから。――んで、自己紹介は……さっき名乗ったけど私はユエ。カイトの正妻で、カイトと世界を巡る旅するためにド田舎から出てきたところ。ついでにカイトのためにハーレム作るのも旅の目標。一応レンジャーから魔法から普通に前衛まで一通りこなせる。でもぶっちゃけやること多いからハーレムのできる子に役割分担したいところさん」


「すごい勢いをかんじますね……」


「Sランクに匹敵しそう……いや、厄災の海蛇撃退疑惑ある時点でSランクより強いまで……」


エレスティアがなにやら言ってるが


「ミレイユ、自己紹介よろ」


とユエが話投げたため中断された。


「あ、はい。私はミレイユといいます。元Aランクのクランで書類仕事や料理掃除などの裏方をしてたのですが、少し前に仲間の宝物盗んだ疑惑で追放されて、流れ着いたカランの街で受付嬢をやってたのですが、ユエさんに引き抜きされて……」


「才能あるし、カイト好きそうだから引き抜いた。反省も後悔もしてない」


「……すごい御仁ですな、ユエ殿」


「取り敢えずパーティーとしてこれからよろしく」


「よろしくするのは構わないけど!宿に人連れ込んで代金踏み倒しは許しまへんで!」


マッキーさんがドア開けて突入してきた。



――*――*――*――



オレが向かいの部屋(ちょうど空き部屋だった)が2人部屋なのでそこを1ヶ月前払いで使うと銀貨渡したらホクホク顔で予想してたのか鍵を渡して退散するマッキーさん。


「……この宿の人まで濃いキャラしてる……」


「そのうち慣れる。2人はカイトの嫁にもなれる」


「なれたらダメなやつでは?」


「逃さないからあきらめて?」


うーんこの


「取り敢えず夕食食べたら、エレスティアのその防御皆無なところとか、ミレイユの一番力発揮するための鍛錬方法とか教えるから」


「空腹は戦の天敵と言いますからね!急ぎ食事をしましょう!」


「そうですね!」


「ん、現金な2人」


「ジョブシステムなくて自動振り分けされてる?なら、こんなふうに無自覚にジョブシステムに苦しめられてる人いるんだろうな。……それが解決できるならこうもなるって」


そう言いつつ夕食分を食べに行くことに。




――*――*――*――



「はいよ、4人分ね」


宿に併設されてる食堂にて、オレたちは初回説明で聞いていたパンと魚のムニエル?に生野菜サラダを受け取る。


厨房の恰幅の良いおじさん……たぶんマッキーさんの旦那さんでここのオーナーなんだろうな……。


などと思いつつ、空いてる席で食べることに。


2人が食べようとする前にオレとユエは手を合わせた。


「今日の食事に感謝を――いただきます」


「ん、いただきます」


「その挨拶は、食事前にやるのか?」


「変わったあいさつですね。教会とかの関係者や篤信な信者さんたちとも違いますし」


エレスティアとミレイユが不思議そうにオレたちに聞いてきた。


「ん。私たちは命を食べてるから。自分の血肉になる食材に感謝しただけ」


「そして食べ終えたらいただいたことに感謝して、ごちそうさま、と言ってるな」


オレたちの言葉に2人は顔を見合わせ、ナイフやフォーク、手に持ってたパンをおろして手を合わせる。


「「いただきます」」


そう言ってから食べ始めた。


「オレたちに合わせてくれてありがとな」


「いえいえ」


「私たちも良いと思ったから真似ただけです」


「ん。これでまた一歩、カイトの嫁に近づいた」


「「そのつもりはないです」」


「……まあいいけど」


そういったあとユエがなにやら席を立ってカウンターに確認しに向かった。


そして戻ってきたあと、懐からなんかのジャムの瓶を取り出し、スプーンで掬ってパンに塗り、食べる。


「うん、おいしい。カイトも塗る?」


「んー?別に問題ないしな」


歯とか胃が強靭なのか、見た目硬いパンなのに普通に噛み切れるし……。


「わ、私たちも……」


「もらえないかなーって」


エレスティアとミレイユがそう告げると、ユエが悪い顔になる。


「2人がカイトの嫁だと認めるなら――」


オレはハリセン(ゲーム時代の装備品でダメージが入らないネタ装備)を取り出してユエの頭を叩く。


「経緯はどうであれ、パーティーメンバーなんだから意地悪するな」


「仕方ない。ならこっちのサラダ用ドレッシングとかも付けるか――痛い痛い。2人にも分けるから頬はやめて」


ハリセンしまって頬抓ったらちゃんと分け与えたので良しとしよう。


それはそれとしてエレスティアとミレイユの2人がオレとユエの力関係わかんね、みたいな会話してるが……オレもユエもわからねぇからたぶん誰もわからないんだよな……。

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