第3話 野乃
敬子が「今何してるの?」と野乃に訊ねた。
野乃が「あ、敬子。今ね?隆徳君と学校に来たの」と敬子に話をした。
敬子が「へー、隆徳ってこの子の事?」と野乃に訊ねた。
野乃が「そうだよ。話してみるととっても優しいのよ」と敬子に隆徳の事を紹介した。
敬子が「野乃に手を出してみな?許さないんだから」と隆徳を軽蔑した。
隆徳が「ひぇ~、怖い。よくあんな奴と友達として付き合って居られるな」と程なくして冷や汗が出た。
野乃は明るくて優しくて誰にでも平等に接する子だった。
でも、ある時から野乃は男子に心を閉ざしてしまった。
それは、野乃が小学生のころ、人付き合いが上手くいかなくて悩んでいた。
男子から「アイツ暗すぎ」と虐めを受けていたのだ。
敬子が「野乃。あんたは何で下を向いているのか分かったよ。自分に自信がないからでしょう?」と黒板に向かって書くフリをした。
野乃は「うん、そうだよ。敬子は何でそれを知っているの?」と聞いた。
敬子は「自信はね?人と付き合って友達として接していく中で自信って自然とついてくるの。分かる?人と何度か接していく中で場数を踏んで行かないと自信に繋がらないの。すなわち練習が必要よ」と野乃に親切に教えていた人付き合いのコツを野乃に教えていた。
野乃は敬子を見て「あぁ、この子と友達になりたいな」と心の中で自然と惹かれていった。
先生から「野乃さん?何がおかしいんですか?」と急に質問攻めに遭い、野乃が「すみません。私、どこか違うところに意識が向いていました」と素直に謝った。
先生が「分かりました。以後、このような事があったら許しませんからね」と眼鏡の奥で厳しい目が見えた。
敬子が「だから言ったでしょう?もう、よそ見するなって」と野乃に注意をした。
野乃が「ごめんなさい。私も先生から目を付けられるとは思ってもみなかったから」と敬子とコソコソ話をした。
それから野乃は疲れてしまったのか机に突っ伏したまま眠っていた。
敬子が「疲れたのか?よしよし、おやすみ」と自分のジャケットを野乃の背中に掛けた。
隆徳が「あんた、案外優しいところがあるんだね」と敬子の耳元で囁いた。
敬子が「あんたね?元はと言えば、あんたが野乃をそそのかすから悪いのよ」と隆徳を責めた。
隆徳は「人聞きが悪いね?ただ僕は野乃さんと純粋に仲良くしたいと想っただけですよ」と敬子に口答えをした。
敬子が「だったら、野乃に期待させるようなことはしないで」と隆徳にキツク口頭で弁論した。
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