2あなたのいない世界で

あなたのいない世界は

私を包む温かい毛布がなくなったかのようだった

無条件に愛してくれた

あなたのいない世界は

どうしてこうも寂しいのだろう

ルビーが眠る小さな宝石箱を開ければ

いつもあなたを思い出す

あなたが遺してくれた

数えきれないほどの宝物は

私の今を支えている

温かい風が吹けば

そこにあなたの影を感じる

いつもあなたは風のように

私を抱きしめては

遠く離れて

また現れては

消えていった

あなたがいた世界では

あなたのことを忘れていたのに

あなたのいない世界では

毎日のように

あなたを思い出している

私はあなたのことを愛せていた自信がない

あなたが隠れて

部屋で一人泣いていたとき

あなたが寂しそうに笑ったとき

あなたが私に取り乱して怒ったとき

あなたが珍しく寝坊したとき

あなたが調味料を間違えたとき

あなたが私の名前を忘れたとき

あなたが私を見ても誰だか分からなくなったとき

あなたが苦しそうに呼吸をしたとき

あなたが自分のことすら忘れてしまったとき

私はいつも

あなたに

背を向けて

見ないふりをしていた

それなのに

あなたのいない世界は

味のしないパンを食べているように味気ない

そして

私は気づいた

私は本当は

あなたのことを

心の底の底から愛していて

大切に思っていたということに

私は

本当は

あなたからいつも

数限りない愛を貰っていたということに

あなたのいない世界で

私は気づいたの

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